アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

こころに残るSFベスト10

 これまた、古い作品が多くなってしまいました。
 すでにブームが去ってしまったのか、絶版がかなり多く、びっくりです。
 ただ、WEBで検索すると、アニメ以上に、deepなファンの方が
とんでもないサイトを立ち上げているんでこれまたびっくり!(^^ゞ
 お、おれも同意見!という人は、メール下さい。
   紹介文は、あちこちから拝借させていただきました。(^^ゞ

1.火星年代記 レイ・ブラッドベリ
The Martian Chronicles (1950) Ray Bradbury

ハヤカワ文庫NV 小笠原豊樹/訳

 火星への最初の探検隊は、一人も生還しなかった。続く二度目、三度目も・・・。
 それは、火星人たちが彼らなりのやり方で探検隊をもてなしたからだ。
 それでも人類は怒涛のように火星へと押し寄せ、火星に地球とそっくりの街を築いていく。そして、地球人の持ち込んだ病原菌によって、ひっそりと滅んでいく火星人たち。やがて火星への入植者たちは、繁栄を謳歌するようになるのだが・・・

 ブラッドベリは、東京創元社の「ウは宇宙のウ」で初めて読み、その後ファンになって片っ端から買って読みました(高校生の頃…)。火星年代記はその中でも最高で、人に会うたびに感動を分けたくて、「わざわざ買って本を渡す」というようなことをしたものです。これは、半分感動の押し売りですね(^^ゞ
 荒涼とした火星の雰囲気、誰もいない部屋が燃える描写…等々、語間から湧き上がってくるなんともいえない切ない感じがとってもいいです。

 夏になると、NHKラジオで「夏休み子供科学相談室」というのが放送されます。
 先日漠然とその放送を聞いていました。
 小学3年生の女の子「火星には人は住めるんですか?」
 女の先生「そうだねぇ、火星には空気はないけど、昔、川が流れていた跡があるのよ。(後略)」と、ひとしきり、説明した後で、
 女の子「火星人はいるんですか?」
 女の先生「将来、人間が火星に住めるようになって、○○ちゃんが火星に住むようになったら、○○ちゃんが火星人と呼ばれるようになるかもしれないわね」だって(笑)

おいおい、小学3年生に火星年代記のねたバレするのはやめましょう。(2005/7/20)


2.口に出せない奇妙な習慣、奇妙な行為 ドナルド・バーセルミ

Unspeakable Paractices, Unnatural Acts (1968)Donald Barthelme

サンリオSF文庫 山崎 勉・邦高忠二/訳

 ニューウェーブの波手といわれた、山野浩一さんが監修する「サンリオSF文庫」がでたときは、JGバラードとかKロバーツに夢中になっていた当時、狂喜乱舞し、うきうきしながら買いあさってたのですが、なんかへんな作品もまじり、ついていけなくなったりした事もありました。(^^ゞ
 この本は、短編集で、ほとんどの作品は忘れてしまいましたが、中に1篇、「コラージュ?にコメントをつけた」冒険?小説(作品名は忘れました)がありました。その中の集合写真?に「後列左から3番目が筆者」とのコメントがあり、横隔膜が引きつるほど笑い転げた記憶が甦ります。(イメージ沸かないなあ・・・)

 当時、某生保の寮で生活をしており、同僚の友人にこの本を読ませたら、彼も30分ほど笑い転げておりました。(本はそのままどっかいってしまいました)
 長い間古本屋を捜していますが、みつかりません。どうしても、もう一度読みたいと思っています。
 
 先日『キノの旅Ⅲ』を呼んでたら巻末の著者近影に、大量のネジの写真が掲載されていて「前列左から2番目が筆者」とコメントされてました。
 なかなかやるなという感じです(わかる人にはわかるコメントというやつです)。(2005/7/7)


3.流れよ我が涙と警官はいった フィリップ・K・ディック

Flow My Tears, The Policeman Said(1974) Philip K. Dick

サンリオSF文庫 友枝康子/訳

 それは、まったく不意だった。子飼いの歌手志望マリリンが、彼を恨んでゼラチン状のカリスト海綿動物を投げつけたのだ。彼の胸に50本の触手が食い込んだのをスコッチを浴びせて殺したものの、何本かが体内に残ってしまったのだ。失神、そして病院へ。
 ところがある朝、目覚めてみると安ホテルの不潔なベッドだった。胸から触手は消えていた。それだけではない。3000万人のファンを持つTVのアイドル歌手である彼タヴァナーは、身分証明書もなく、世界中どこにもデータのない男になっていたのである。1984年、警察国家アメリカのどこにも彼は存在していない、ということになるのだ。だが、これはまだ悪夢の始まりでしかなかった。ロサンゼルス警察は、彼が自分で自分のデータを消したと疑って24時間監視をはじめたのだ。

 ディックは一時発行されている本は、SFだけでなく、エッセイ・青春小説から童話までかたっぱしから読み漁った時期がありました。(どれ読んだか忘れてしまって、2冊買ったりもしました)

 ヴァリスは難しくってダメです。(^^ゞ(でも、ヴァリス3部作のカバー絵はGOOD)
 やっぱり、電気羊とか、火星スリップとかのように、トリップできる作品がいいですね。
 流れよ我が涙は、難しくなくって、テンポがいいので、ディックの中で一番好きです。


4.銀色の恋人 タニス・リー

The Silver Metal Lover(1981) Tanith Lee
ハヤカワ文庫SF 井辻朱美/訳

 銀色の肌、赤い髪をしたシルバー、彼は鮮やかに少女ジェーンの前に現れた。そして少女はシルバーに恋をする。しかし彼は人間のコンパニオンとして開発された、ロボット。彼のの存在を信じる少女は、シルバーに愛を語り続ける。時に優しく、時にエゴイスティックに。ナルチシズムを乗り越えて少女が彼への愛を確かめた時、奇跡は起きる。

 なんか、「ウールリッチ節全開」のような作品。全編、切なさ炸裂って感じです。
 頭からっぽにして読めるので、肩が凝らなくていいです。
 タニス・リーの中では、異色作だそうですが、他の作品は読んでません…


5.シャンブロウ(「大宇宙の魔女」収録)C・L・ムーア
Shambleau(Shambleau and Other Stories)(1934) Catharin Lucire Moore
ハヤカワ文庫SF 仁賀克雄/訳

 宇宙パトロールの追跡を逃れ,熱線銃一丁をたよりに星から星へと渡り歩く無宿者ノースウェスト・スミス――彼は,火星植民地で,なにやらひどく群衆に追われている一人の娘を救った。
 〈シャンブロウ〉と呼ばれる彼女は,愛らしい肢体を持ちながらも明らかに地球の生物ではない。暗い,獣の知恵を秘めたその脈動する瞳を見たとき,スミスは一瞬本能的な不安を覚えた。そもシャンブロウとは何者? しかし彼女の妖しい美しさに魅せられ,彼は娘を宿へ連れ帰る……。

 松本零ニ氏の挿絵が独特な上に、野田大元帥が誉めまくってたので、ご存知の方も多いと思います。
 ノースウェスト・スミスがめちゃくちゃかっこいい!
 これは、男性のあこがれですな(笑)  


6.ヴァレンタイン卿の城 ロバート・シルヴァーバーグ
Lord Valentine's Castle (1980) Robert Silverberg
ハヤカワ文庫SF 佐藤高子/訳

 大行列にサーカスに王家の祝典……ピドルイドの都は、いま新しい〈皇帝〉ヴァレンタイン卿をむかえ、絢爛たる祭りに酔いしれていた。だが、ただならぬ暗雲が、平和で美しい惑星マジプールを覆いつつあった。
 現在の支配体制を内側からなしくずしにし、権力を一手に握らんと画策する者がいたのだ! 〈夢の王〉の息子ドミニン・バルジャジット――彼の野望を打ち砕くべく、旅回りのジャグラー、ヴァレンタインは、一路ヴァレンタイン卿の城のある〈城ヶ岳〉を目差して旅立った。だが、ヴルーン族の妖術師デリアンバー、四本の腕を持つスカンダー族のザルザン・カボル、馬飼いの少年シャナミールらを引き連れたヴァレンタインを待ち受けていたのは……

 こんな、楽しい小説なのに、絶版だなんて・・・ SFの読者層が減ってしまっているからでしょうか・・・(そういえば、ここ10年ほどSFマガジン読んでないなあ・・・) SF読んでて、ストレスなく、わくわくする作品です。「夜の翼」とか「内死」より疲れなくていいです。
 良質のRPGやってるような気になります。


7.バケツ一杯の空気 フリッツ・ライバー
A Pale of Air (1964) Fritz Leiber
サンリオSF文庫 山下諭一・深町眞理子・他/訳

 「パパに言われて、ぼくは余分の空気を一杯取りにいった。バケツがほぼ一杯になるまですくいいれ、指がそろそろかじかみかかってきたとき、ぼくはそれを見たのだ。はじめぼくは,それが若い女の人かと思った」光がむかいのアパートの五つの窓を通り越し、つぎの階まで動くのが見えた。
 でも、そんなはずはなかった。暗黒星が地球を冥王星の軌道より外側へ引きずり出したため、かつてなく烈しい地震と洪水に襲われ、ついで絶対零度に近くまで気温が下がりはじめるや、水、炭酸ガス、窒素、そして酸素までもが凍りはじめた。パパとママ、ぼくと妹を残して地球上の人間は全部死に絶えてしまったのだ。一体、それは何だったのか? 

 たしか、サンリオSF文庫初期の短編集だったと思います。
 アイデア最高です。
 もう、それだけで読ませる作品ですね。  


8.都市 クリフォード・D・シマック
City(1952) Clifford Donald Simak
ハヤカワ文庫SF 林 克己・他/訳

 人類が地球から姿を消し、世界は、知性を持った犬によって支配されるに至った。そこでは、かつての人類の存在すら半ば伝承の産物と見られていた。犬類の学者は、僅かに残された伝承から人類の実像を探ろうとする……。

 ひたすら、地味な作品。なんか、○○昔話を読んでるみたい。盛り上がりもなく、たんたんと話が進んでいきます。
 でも、これがいいんだなあ。足が地に付いてる感じで、水戸黄門様を思い出します。  


9.去りにし日々、今ひとたびの幻 ボブ・ショウ

Other Days, Other Eyes (1972)Bob Shaw
サンリオSF文庫 蒼馬 一彰/訳

 スローガラスは、そこを通って光が出てくるまでに時間がかかる。普通のガラスでもほんの僅かだけ光路差が違って位相差が生じるが、スローガラスは、光が入って出てくるまで1年かかるという。
 倦怠期に入った夫婦が、スローガラスの産地を訪れる。風光明媚な場所にスローガラスを置いておけば、そこでの風景が擦りこまれる。そして購買者は自分の家の窓や額縁に嵌め込むことで、その風景を楽しむことができるのである。そこで、ふと彼らが気づいたスローガラス業者の過去……。

 アイデア最高。人それぞれの人生があるって、しみじみ伝わります。
 スローガラス欲しいなあ(^^ゞ


10.狂乱星雲記 吾妻 ひでお
 一時吾妻ひでおファンクラブに入っていて、「吾妻ひでおに花束を」とか「みゃあちゃん官能写真集(誤解のない様に言っておくと、単なるイラスト集です)」とかも買いました(^^ゞ
 大学4回生の頃は、当時発売されていた作品は、クロムヘトロジャン作『へろ』以外は全部集めていました。
 ああああああ、オタクだったなあ・・・
 そんな私が、古家の改修を生業とするなんて、人生わからんもんです
このページの先頭に戻る