木材は、鉄やコンクリートに比べて弱いと思われています。
 しかし、強さを重量あたりで比較すると、木材の中でも弱いといわれている杉でさえ、引っ張りで鋼の約4倍、圧縮でコンクリートの6倍も強いのです。

 もちろん、木材にも欠点はあります。長さや幅が限られているのです。そのため大工さんたちは『継手』を作り、できるだけ強度を落とさずに、「より長い」材料をつりだすためにいろんな工夫をしてきました。
 また、互いに交差する木材を継ぐ場合にも、「仕口」を作り、これもまたできるだけ強度を落とさずに、引っ張りやねじれに耐えるよう工夫をしてきました。

 ところが、最近は度重なる建築基準法の改定や、プレカットの普及などにより、金物や高分子化合物による接着が当たり前のように使われています。
 新聞や雑誌では、「木の家」がやたらもてはやされてはいますが、営業の宣伝文句のような気がしてならないのです。

 時代は変わっていきますが、われわれ日本人が木造建築を忘れられることはないでしょう。日本はどんな田舎にいっても腕のいい大工さんがちゃんとした仕事をしてきたものでした。それが、「耐震・高気密・高断熱・シックハウス」などといった新しい言葉の波に押し流され、昔ながらの仕事をしている大工さんを古臭くさえ感じるような風潮になってきています。大変残念なことです。

 このページでは、そうした大工さんの工夫をご覧に入れることで、木組に対する愛着をもっていただければと思っています。ご参考になれれば幸いです。