アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

B.H市 古民家(続)

 この工事は、2002年7月から、2003年6月まで、約1年かかりました。

 竣工写真を見ながら工事を振り返ってみたいと思います。

竣工写真 --- 工事を振り返って

遠景
遠景

 母屋の瓦はすべて葺き替えました。

 右側の蔵は現状のままです。

外観
外観 南側の庭から広縁を望む

 屋根の上にのっているのは、ソーラー発電と、ソーラー温水器です。
 テラス窓は、以前は木製雨戸でしたが、全てアルミサッシに入れ替えました。

玄関1
玄関

 旧床の間を玄関に改装しています。左側の障子は、既存品を再利用。天井は付梁を追加。網代天井煤竹押え仕様です。
 床の上框と、床板は、お施っさんの倉庫に眠っていたものを、洗って再利用しています。
 床板はやといざねを入れていますが、板と板の間は隙間なく施工することができました。これは、材料が製材されてから100年以上たっており、かなり乾燥していたからだと思います。

玄関2
玄関から庭側を観る

 襖と障子は修繕の上、再利用しています。

リビング1
リビングから広縁を観る

 梁はかなり低い位置についていたため、上にあげました。柱はお施っさんの倉庫に眠っていたものを、洗って再利用しています。

 床板は、楢無垢材無塗装品を使い、現場でオスモクリア塗りしています。
壁は、珪藻土塗りです。

リビング2
リビング全景

 独立柱の2本は傷みが激しく、取り替えました。
 ただ、この柱は、いろんな梁・桁が突き刺さった状態でしたので、仕口をはずして再び入れなおす必要があり、かなり大変でした。
 正面に見える家具はテレビ台。その両側の建具は既存品を補修の上再利用しています。

広縁
広縁

 障子より右は、ほぼ全て新しくなりました。

 床は楢無垢材。化粧野地は檜小幅板。垂木は松材です。

キッチン
キッチン

 流しの上に見える梁も低すぎるため、上にあげています。

 この梁を受けている柱は全て取り替えました。(白蟻の害がひどいため)

ダイニング
ダイニングからキッチンを観る

 先ほどのキッチンを反対側から観ています。
 先ほどの梁の上にも丸太があり、さらにその上に小梁が乗っていますが、これはそのまま利用しています。
 天井は、もともと竹だったものを檜板に取り替えています。

 天井の上には、断熱のために厚30cmほどの土が敷き詰められていましたが、全て新建材に取り替えました。土の撤去だけでもトラック3台分あり、大変でした。

納戸
納戸

 窓はサッシになりましたが、格子はそのまま修理して使っています。

土間
土間

 ここは以前倉庫だった場所です。

 勝手口から中庭に抜ける道です。
 風の通る気持ちのいい空間になりました。

 事務所から現場まで1時間半以上かかるため、約1年間泊り込みでの工事になりました。
 寝具を持ち込み、炊事・洗濯しながらの工事です。
 でも、お施っさんがとても気を使っていただき、いろいろと食事の世話をしていただいたり、身の回り品を貸していただいたり、大変助かりました。
 長丁場のため、いろいろと辛いこともあったのですが、お施っさんが家族のように接していただき、ほんとうに感謝しております。
 ありがとうございました。
現場監督 荒木 智
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