北山の古民家(リフォーム事例)
ご縁があって、2棟が繋がっている古民家のリフォームをすることに。昭和初期の比較的新しい建物だが、1Fを仕事場、2Fを下宿に改造されているため、使いにくい状態。内部を全てリセットし、2世帯住宅に改修する事となった。
【 】をクリックすると写真が出ます
古民家のリフォームは見えないところの仕事が大切
まず最初に後で作られた内部の間仕切類を全て撤去。町家を解体すると、必ずといってよいほど
【土止め古新聞】
が現れる。古くなった土壁がポロポロと落ちるのを防ぐもので今回の解体工事でも現れた。この新聞観察も楽しみのひとつである。
解体後、現場には大工が乗り込み、マイナスの工事からプラスの工事へと舵を切る。まずは
【身体検査】。
建物の現況(歪み・沈下・構造体の損傷具合など)をしっかりと分析し、実施設計図を睨みながら改修方法を検討する。設計図では表現しきれない工程である。
構造を矯正した後で、
【基礎工事】
にとりかかる。写真は、弊社の見習い職員たち(宮崎・斉藤くん)。これも大切な仕事の一つ。後方に油圧ジャッキで突っ張られている壁がみえる。長年のゆがみはなかなか矯正できないためどうしても時間が掛かるのだ。
次は、
【1F内部造作】と
【2F内部造作】の作業風景である。特に2階は、間取りに添った形で小屋組み丸太があるため、見せることにしている。そのため足場組が必要になった。これも工事を進めながら、お施っさんと相談して決定している。
大工さんがいなくなってから
【左官屋さん登場】
である。こちらは、福井さん。ほぼ総真壁造となったため、木部を汚さないように気を使う作業である。
長く激しい梅雨も明け、ようやく
【外部足場の撤去】
が始まる。着工から数ヶ月、大活躍した足場とネットも本日をもってお役御免。いつもの事ながら外部足場を撤去する瞬間は、なんとも感慨深い。
建物の骨組みを生かした古民家のリフォーム
【外観】
は、以前の意匠を踏襲。雨で痛んだ木製手摺を取替え、杉皮竹押+左官塗で仕上げている。
【玄関】
と
【小上がり】
も昔ながらの意匠だ。家具は突板仕上だが、玄関框・床板・障子いずれも無垢材を使っている。
一方、室内に入ると機能性を重視したモダンな内装に。1F作業場を
【LDK】
に改修。床は楢。天井はピーラーを張り、照明も主張しないよう工夫した。
今回は、水廻りも全面改修している。
【キッチン】
も対面型とし、家具に収納量をもたせることで、シンプルに仕上げた。
また、キッチン隣に
【和室】
を配置。間仕切を引込戸にすることで一体感を持たせている。
次に、
【階段】
を登って2階にあがってみよう。
2Fは子世帯が利用する
【LDK】
になっている。木組みをそのまま生かした内装が素晴しい。夕暮れになると暖かな
【木の空間】
に変身する。工事を通じて貴重な民家を一つ残す事ができたのは感慨深い。これからも長く住み継いでほしいと願ってやまない。