大塀造の京町家
いくつかの写真にカーソルを重ねると、工事中の写真に変わります。
『大塀造』の京町家(町屋)。
通り庭があるうえに、和室が田の字型に6部屋連なる大きな町家。
大正時代の比較的新しい建物だが、広い間口を生かしていろんな意匠が凝らしてある。
しかし、100年近くの歳月が住まいを傷め、隣から雨水が土間に浸入し、柱が大変傷んでいた。
給排水/電気/ガスなどの設備は全て一新。構造改修、悩みの種だった床下防湿工事も施工。
今回も、躯体・基礎から改修すること。
内部仕上げに関しては、あるべき姿に再生。
玄関間の正面に襖がみえる。この襖の向こうにも和室(控間)が続く。
控間の押入は撤去し、本棚作りつけることに。
手前の奥座敷の仕上は元のまま。でも、北側から水が浸入し、柱の足元が傷んでいたので、
基礎の復旧、防湿土間コンクリートの打設、柱の根継、足元の補強を行う。
離れ(浴室・洗面・トイレ)は、意匠を損なわないよう屋根を残し桁から下部を新設。
縁側は、床材の張替(バリアフリー化)、断熱材の充填、ペアガラスの取替などを施工。
居間も、薄壁を構造壁にしたり、敷居を取り替えたり、建具を座敷とそろえたり。
もとの意匠を尊重。基礎・躯体の根本改修を行いつつ、現状復旧を心がける。
階段が急なので、少しゆるやかに。2階の踊り場もピーラーを張り、明るい雰囲気。
また、2階は一部屋根が低く圧迫感があったので、天井を撤去し、既存母屋木の間に板を張りこむ。
水周りの前廊下はもともと濡縁。やはり寒いので、壁を作ってペアガラスを。
この部分は天井がきれいなので残していますが、柱・床等屋根以外は全て新調。
市内でも軒数が激減している『住居専用』の京町家。
職/住兼用の京町家と比べ、間取り/意匠などが大きく異なる。
住居専用とはいえ、『私』よりも『公』を意識した内/外部空間を再生でき大変嬉しく思います。