高辻 京町家I
市内某所、路地奥の京町家。
間口3間。母屋の間取りは継承し、水周りは全面改修。また、トオリニワにはキッチンを新設。
給排水設備及び電気などライフラインは全て一新。ガスは閉栓し、オール電化京町家に。
構造改修は揚げ前、イガミツキなど一通り施工。
前栽から建物を見上げる。
既存の植栽はほとんど撤去し、新しくやまぼうしを植樹。
手水鉢はもともとこのお庭にあったもの。
2F外部建具は、もともと老朽化した雨戸がはまっていましたが、アルミサッシに取り替え。
(今回もたくさんの画像に、施工前・施工中の画像をリンク)
外観。
半間の路地を抜けると、今回の改修対象の京町家が現れる。
建具は古建具を再利用。
土間は、水道配管を全て新調したため、全てあたらしくやり変え。
ミセの間から玄関土間と、台所を見る。
玄関にある大きい収納と、下駄箱は新調。
下駄箱は、杉の間伐材で製作。
割と利口で、赤みのある良い家具に。
台所は、もともと通り庭だったところ。
土間だと使い勝手が悪く寒いので、松で床を張る。
町家特有の眺め。
各部屋の間仕切りを全部開けたら、表から裏まで風が通り抜けるしつらえに。(2Fも同様)
補強のために要所要所に、半間程度の壁を設置。
もちろん、筋交等はいれず、既存の土壁とバランスを取るよう、木摺り下地で仕上る。
奥座敷から中の間(ダイドコ)を見る。
階段は、当初表の間にあったのですが、使い勝手が悪いのと、傾斜が急なので、付け替え。
広縁を通ってトイレへ。
もともと、濡縁だったところを、壁をつけて広縁に。
トイレ・洗面・浴室まわりは、ほとんど新材を使用。
そのため、この部分は無塗装とし、木地を見せて仕上げる。
台所を、表2Fと裏2Fそれぞれから見下ろす。
この部分は、足場を組んで、内部全て塗り替え。
(壁も土がボロボロに落ちたので、下地からやり変え)
雨漏りが酷く、大屋根は全面瓦葺き替え。
換気扇のダクトを出す場所がなく、やむを得ず架空配管に。
通り庭の天井。
天井も、内側から断熱材を充填。
もともと、階段があった部分は押入れにし、新しく階段を作った部分には、木製で手摺を新調。
右手奥に見える家具は、弊社で新調。
床板などの新材には古色を施し、全体の調和を図る。
路地奥の建物なので、窓から表の建物が見えています。
既存の構造、間取りを損なう事なく継承。古建具類は可能な限り再利用。
苦労もありましたが、竣工した時の喜びも大きい。
意匠、構造、設備。それぞれの要素が、主張する事なくよく纏まったと考える。