京町家のリフォーム 竹屋町 京町家

構造改修により京町家を守る

物件
所在地 :京都市上京区竹屋町
主体構造:木造。アルミサッシ等で改築された部分をもとに戻す。
旧建築年:1900年頃
工事年月:1998年6月
規模(地上2階)
延床面積:132.24㎡

経緯
『京町家作事組』が最初に手がけた仕事です。
土間に床を貼ったり、間取りを変えたりという改装ではなく、不同沈下によるゆがみの補正や雨漏りしている瓦の補修など耐久性に関わる基本的な部分を改修しています。

また、アルミサッシを木製戸に戻す、正面の腰窓のタイル貼りを羽目板に、スチールの飾り格子を取り去る等、「もとあった姿に戻す」工事をしております。

その結果、通りからみると、どこをどう直したらいいのかわからないような町家になっておりますが、先人の知恵を再認識するためにも、また京町家の良さを潰してしまわないためにも安易な改変はしないよう心がけました。
町家改造のポイント

改造というより、むしろ補修・復元といったほうがふさわしい工事となりました。
街路側の腰壁はタイルばりでしたが、栂材の総羽目板ばりに、アルミサッシに変えられていた玄関戸は格子戸に変えました。これで表構えのイメージがずいぶん変わったと思います。


同じように、1、2階の庭に面したガラス戸もアルミサッシになっていたので、古い檜の木製ガラス戸に。台所の水まわリはタイル張りの流し台をガスレンジと一体化したステンレス・シンクに変えました。
また、床が大きく傾いていたのでジャッキアップして、壁の塗替え、襖や障子、畳表の張替など補修しました。
『補修・復元』とはいっても、やはり書斎として椅子の生活ができる部屋を一つ希望されておりましたので、畳をフローリングに変え、古民家で使われていた松の梁を机の天板に利用して据え付けました。

左手の板間は下に収蔵庫があるわけではなく、配膳のためにつくられたようだ。
奥の庭からこぼれる光が美しい。
(写真提供:太陽2000年11月号)