京町家のリフォーム 黒板のある京町家
本屋さんを始められることになり、京町家を大規模に改修することになりました。
単に本を並べて販売するだけでなく、セミナーや体験教室などいろんな行事を企画される、次世代型本屋さんです。そうしたニーズに答えられるように、各所にいろんな工夫をしています。
今回は、株式会社クカニア/末川建築設計事務所様からのご依頼で工事をさせていただきました。
もともと道路際まで拡張されたシャッター付ガレージとなっていましたが、ベンガラ格子に虫籠窓、漆喰塗りと、本来の外壁面にもどして外観を復旧しています。
外観は昔の風情のまま。看板がなければ、本屋さんとは思えないしつらえです。
ミセニワとミセノマを一体にした土間です。大和天井は表しに。荒壁土はそのままに残して改修しています。
沢山の本棚は建物にあわせて造りつけています。
奥のザシキは、今ではコタツ席になっていてくつろぎながら本が読めるようになっています。
ザシキの意匠は改修前と変わりません。
火袋はそのまま生かし、中塗土を塗り直しています。軽食提供のための厨房設備を新設。ソフトクリームメーカーやエスプレッソマシンなど店舗としてのニーズにも応えています。
2階はイベントスペース。床は全て杉板1等材に柿渋を塗って張り替えています。縁側との間の建具は撤去し、広い空間を実現しています。
イベントで撮った写真を飾るギャラリーを設けたり、映像設備を導入して他店舗と交流を図るなど、本の先にある体験を目指されています。
オモテの間は、天井・壁ともほとんどそのままで、ペンキを塗りなおして補修しています。本が読めるようにこちらも壁際にカウンターを沢山造っています。
庭は写真より、もう少し手入れをされていて、竹が植えられ2階からもみえるようになりました。
足元の一つ石や葛石などはほぼ全て据え直しています。
竣工後にお伺いしたところ、弊社会長の本を平積みにしていただき、大変ありがたいです。だれでも気軽に入れる本屋さんだと思います。また、ソフトクリームやコーヒーをいただきにあがりたいです(^^ゞ。町家の活用はゲストハウスや飲食店ばかりが目をひきますが、こういった文化的な施設につかうと、建物のよさが生きると思いました。