離れのある京町家

今回は「スギエタカシ建築研究所」様のお仕事です。
離れのある京町家。歪んで傷んだお住まいを、構造計算を入れ、1年以上かけて全面改修する事になりました。
現場を担当した大工さんは、中村君です。
京町家のリノベーション 1) 施工

まず、基礎から直すため、2Fを仮受します。

布基礎を立ち上げ、土間コンクリートを打ちます。

新設する柱などを現地で加工します。

間取りが変わるので、宅内の構造を入れ替えます。

壁が落ちている部分は下地を直します。

撤去部分の臍穴を徹底的に埋めます。

ちょっと休憩。山脇さんと植松君。

天井裏が見えないように仕舞をしています。

重くて手が滑って! 150kgを4人がかりです。

大きくて、持つところなくて!
120kgを6人がかりです。
京町家のリノベーション 2) 竣工

出格子を復元。壁は漆喰、木部はOS塗。下屋はSUS芯銅樋+一文字軒。

段板はオーク材突板蜜蝋ワックス塗。手摺は鉄骨黒皮仕上。壁は中塗土仕上。

床はオークフロア。床暖房が入っています。
壁は中塗り土仕上。天井は竿縁天井を空中に吊っています。
地杉建具越しに玄関が見えます。土間は三和土風モルタル仕上です。
右手の壁は実は内部に配管や配線が沢山入っていて、二重になっています。

こちらも竿縁天井を空中に吊っています。
庭は地桧で濡縁を3方廻りました。向かいに離れが見えます。
小さな庇も地桧化粧野地で新設しています。
大きな透明硝子窓で明かりを取り込んでいます。

勾配天井は杉羽目板をOS塗装。
床の間は床框、違棚、地板を再利用しています。
小屋裏の登り丸太など、元々の構造材をみせています。

手摺越しに母屋が望めます。
母屋の腰窓も表同様お多福窓です。
手摺の手前の引込戸は壁に格納されています。

トレーニングルームから、見上げています。
左と正面は木製パネリング。右は全面鏡です。
ここに足場を組んで、壁は全て塗り直しています。
正面上部に見えるのは、エアコンBOXを兼ねたキャットウォークです。

キッチンハウス製のオーダーキッチンです。
コンロ、食洗機はミーレ製。
ゴミ箱や間接照明も組み込まれています。

TAKUMI癒匠製の信楽焼バスタブ。
床と壁は磁器質タイル張。天井はAEP-G塗装。
お庭を眺めながらゆっくりお風呂に入れます。

個々の仕様にこだわりがあり、細部にわたって手の込んだ現場でした。当初は手探りで着工しましたが、数多くの業者さんの協力で無事完成する事が出来ました。
今回、特に苦労したのは設計図通りに納めるため、各仕様を一つずつチェックしながら進めていくことです。初めてご一緒させて頂くこともあり、どこまでの仕様を望んでられるのか、細かく確認しながら時間を掛けての作業となりました。結果的には最高の仕上がりとなったので大変満足しています。
特に、建具枠の納まりの検討は本当に大変でした。それぞれの建具や枠材の納め方が細部まで決まっていたため、どうやって図面通りに納めるのか、大工さんと相談しながら1ヶ所ずつ丁寧に納めさせて頂きました。これまでの工事では、そこまでの複雑な納め方をしたことが無かったので、本当に良い経験になりました。