廻り階段のある京町家
ただ単に町家を復元することよりも、良いと思われる新しい素材や工法を取り入れつつ、お客様の生活スタイルに合わせた町家に直すことを心がけました。
ファサードは町家の形態をしっかり残し、内部は残せるものは再利用することを前提に、デザインと使い勝手にこだわりました。
結果的にはお客様のデザインセンスの良さも加わり、本当に素晴らしい町家に甦ったと思います。
現場は大工の桜井君に担当してもらいました。
【職人紹介】:大工:桜井 宏昭
施工 京町家を基礎・構造からリフォーム
玄関建具が腰壁前に設置されたり、無造作にエアコン室外機が設置されたりといった状態でした。
外部の腰壁は一旦撤去し、基礎からやり直します。大工の桜井君です。
主要な柱も沈下を防ぐため、油圧ジャッキで躯体を受けて足元を直します。
腐朽したり蟻害に遭った柱の根継をし、敷框なども一緒に取り替えます。
熱が逃げそうなところは、できるだけ断熱・気密を行います。
スペースの都合上、幅狭のハシリニワを浴室にしています。
大工頭の桜井君です。4方化粧の柱に踏板が刺さっています。苦労したところです。
2Fオモテの天井を上げ、そこに楢の羽目板を張っています。大工の中村君です。
在来浴室なので、1枚づつタイルを張っています。タイルは施主さんにお選びいただきました。
玄関の建具です。戸車を彫り込んだり、鍵を取り付けたりしています。
2階表に設置する欄干を作っています。
外部腰壁に人造研ぎ出し仕上を施しています。倉三工業所さんです。
竣工 お施主さんと一緒に考えて
葛石、研出壁、真鍮格子、玄関建具などいろいろと新調しています。玄関上の照明、窓内の古建具は既存再利用です(網戸は新調)。2階の手すりは老朽化していたため取り替えました。
元々座敷だった部屋とナカノマをDKにリフォームしています。流しはPanasonicです。新設した柱や梁はあえて古色に塗らず焼けるのを楽しむことにしました。床は上小節の杉板です。
正面の古壁はあえて塗り替えず、部分補修にとどめています。
左手の格子は躯体を補強するために新設。右手の建具はあらき古材倉庫からお選びいただき設置しました。
竿縁天井は洗いの上吊直して再利用しています。
ハシリ手前部分に階段を移設。7段回りになっています。真中の柱に段板が7本突き刺さる様は壮観です!
大工さんの苦労がしのばれます。
大工さんの苦労がしのばれます。
ハシリの奥部分に横長の浴室を配置。タイル割に苦労した甲斐があり、すっきりと収まりました。
旧火袋の梁・柱・壁は新設。天井を撤去しラワンベニヤを選んで張りました。天窓を大きく取ったので、明るくなりました。
天井に楢材を張っています。壁の照明は施主さんがお選びいただきました。
右手は古建具を再利用。正面はリモートワーク用の机を作りつけました。
特に気を付けたことは、『構造からしっかり直すこと』です。
解体後の既存建物の状態はあまりよくありませんでした。当初この建物をどこまでしっかり直すことができるのかがアラキ工務店の腕の見せどころだと考えていました。
予定していた工期・予算をオーバーしてしまいましたが、考えられる補強工事を出来る限り実施させて頂けたと思っております。
全面改修だからこそ成し得た補強工事や意匠更新工事により、末長くお住まい頂けると嬉しいです。
最後に、打合せの合間に出るご主人のユニークな発言に何度もビックリさせられた事がとても印象に残っています(笑)。長期間に渡りお世話になり本当にありがとうございました。
もっと詳しい内容を僕のブログに書いています。是非ご覧ください!
解体後の既存建物の状態はあまりよくありませんでした。当初この建物をどこまでしっかり直すことができるのかがアラキ工務店の腕の見せどころだと考えていました。
予定していた工期・予算をオーバーしてしまいましたが、考えられる補強工事を出来る限り実施させて頂けたと思っております。
全面改修だからこそ成し得た補強工事や意匠更新工事により、末長くお住まい頂けると嬉しいです。
最後に、打合せの合間に出るご主人のユニークな発言に何度もビックリさせられた事がとても印象に残っています(笑)。長期間に渡りお世話になり本当にありがとうございました。
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現場監督 米沢 和也