純和風住宅へのリノベーション

ふとしたご縁で、観光客が行き交う清水坂の一角にある古い住宅の改修依頼をいただきました。
一階はレストランになりますが、二階は純和風の住宅にリノベーションしたいとのご要望でした。
今回は、徹底的によい材料を使い、しっかりとした和室を造作することになりました。
1) 施工 --- 和風住宅は材料の吟味から

















2)竣工 純和風の住宅に生まれ変わる


1Fの玄関。落掛のない聚楽壁塗りまわしの床の間です。床板はブビンガ。右側の横繁桟戸の中は下駄箱になっています。土間は南部石洗い出しです。
玄関を入るとすぐに階段があり2Fに繋がっています。階段手摺は台杉の小丸太を使っています。

網代と葦と板の天井が並んでいます。網代は継ぎ手を竹で押えています。
下地窓にかけられた掛障子からも光が入っています。
床の間の柱は面皮付の杉丸太を使っています。

正面とすぐ左には、はめ殺しの建具。一番左は台所への入口です。
いずれも桧の細かい筬格子硝子戸です。外からの光が柔らかくなりいい空間です。
外部に接していませんが、実は天窓があるので意外と明るいです。

8帖の座敷です。
聚楽壁、摺上紙張障子、京唐紙襖、麻立畳、杉のイナゴ天井といった伝統的なしつらえです。
照明器具も和風のペンダントです。

琵琶床です。
8帖の座敷に2間の床の間は広々として落ち着きます。
床框は桧の素地に黒漆塗りとした面取りの塗框です。床柱は首切りをせず、筍目を入れています。
長押の枕捌きは雛納めにしています。
床脇の格子の中にはエアコンが入っています。


縁側の床板は楢のなぐり仕上。外部の窓は、建築当初からのものを再利用しています。
正面の吹寄筬格子は開き戸で、既存洋風窓の目隠しです。
控間は6帖です。左の押入は布団入。右の片引内は納戸兼ウォークインクローゼットとなっています。


控間のにも飾り棚があり、網代天井を配しています。大きな窓をあけると昔ながらの欄干手摺が残されています。
台所入口の建具は桧材で新調していますが、左手に見える横桟戸は古建具を再利用しています。


台所は化粧天井板に杉の源平を使いました。ここにも天窓があり大変明るい空間になっています。
流しはキッチンハウス製。小さな収納棚も一緒に作ってもらいました。
洗面とお風呂も部屋にあわせてオーダーしています。浴室の入り口が透明硝子で少し恥かしいです。
うっかりと傷をつけたり汚したりすると、代替の材料がすぐには手に入りません。大工はもとより各業者にも充分注意させ、養生を完全にする事を指示しました。
しっかりと腰を落ち着けてやるといいものができます。工事中、見学に来られた方々も「イイネェ。これは落ち着く。コンパクトに全てものがそろっている。こういう家がほしかったなぁ」と言われた事が印象に残りました。