アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

純和風住宅へのリノベーション


綺麗に仕上がった床の間

 ふとしたご縁で、観光客が行き交う清水坂の一角にある古い住宅の改修依頼をいただきました。
 一階はレストランになりますが、二階は純和風の住宅にリノベーションしたいとのご要望でした。
 今回は、徹底的によい材料を使い、しっかりとした和室を造作することになりました。

1) 施工 --- 和風住宅は材料の吟味から

工事開始
工事開始
さぁー、これからかかります。
材料選び
材料選び
お施主さんと一緒に、使用する材料の確認と選別をします。
2F内装工事
2F内装工事
柱を建てて…
 
作業風景
作業風景
大工が作業台の前で加工中。
 
内部下地
内部下地
壁などの下地組み。
 
押入れ
押入れ
押入れの中にも全て無垢材を張ります。これは杉板です。
床の間廻り
床の間廻り
床の間の姿が見えてきました。琵琶床なので、表千家を意識。
玄関作業
玄関作業
玄関の床の間まわり。入ったところにあるので落ち着きます。
掛込天井
掛込天井
6帖控間の天井は一部掛込になっています。網代に煤竹押
大工思案中
大工思案中
大工さん考え中。「あそこをどう納めるかなぁ・・・」
だいぶ
だいぶ
できてきました。
左官工事中
左官工事中
左官が入って下塗中。この間大工さんは別の現場に逃げます。
床の不陸調整
床の不陸調整
床は既存のままなのですが、少し傾きがあるので、やむなくモルタルでしごいています。」
天窓
天窓
このお住まいには2ヶ所あります。大きさは瓦4枚分ですが、充分明るいです。
キッチン組立中
キッチン
キッチン組立中です。
 
 
設備
設備
照明器具などの設備を仕上げています。

掃除
掃除
さぁ、全体の掃除です。これであとは畳と襖を入れるだけになりました。

2)竣工 純和風の住宅に生まれ変わる

玄関 階段
 玄関 / 階段 

 1Fの玄関。落掛のない聚楽壁塗りまわしの床の間です。床板はブビンガ。右側の横繁桟戸の中は下駄箱になっています。土間は南部石洗い出しです。
 玄関を入るとすぐに階段があり2Fに繋がっています。階段手摺は台杉の小丸太を使っています。

玄関と階段の天井
玄関と階段の天井

 網代と葦と板の天井が並んでいます。網代は継ぎ手を竹で押えています。
 下地窓にかけられた掛障子からも光が入っています。
 床の間の柱は面皮付の杉丸太を使っています。

階段上踊り場
階段上踊り場

 正面とすぐ左には、はめ殺しの建具。一番左は台所への入口です。
 いずれも桧の細かい筬格子硝子戸です。外からの光が柔らかくなりいい空間です。
 外部に接していませんが、実は天窓があるので意外と明るいです。

座敷1
座敷から縁側をみる

 8帖の座敷です。
 聚楽壁、摺上紙張障子、京唐紙襖、麻立畳、杉のイナゴ天井といった伝統的なしつらえです。
 照明器具も和風のペンダントです。

座敷2
座敷から床の間をみる

 琵琶床です。
 8帖の座敷に2間の床の間は広々として落ち着きます。
 床框は桧の素地に黒漆塗りとした面取りの塗框です。床柱は首切りをせず、筍目を入れています。
 長押の枕捌きは雛納めにしています。
 床脇の格子の中にはエアコンが入っています。

縁側 控間
 縁側 / 控間 

 縁側の床板は楢のなぐり仕上。外部の窓は、建築当初からのものを再利用しています。
 正面の吹寄筬格子は開き戸で、既存洋風窓の目隠しです。
 控間は6帖です。左の押入は布団入。右の片引内は納戸兼ウォークインクローゼットとなっています。

控間欄干 台所入口
 控間欄干 / 台所入口 

 控間のにも飾り棚があり、網代天井を配しています。大きな窓をあけると昔ながらの欄干手摺が残されています。
 台所入口の建具は桧材で新調していますが、左手に見える横桟戸は古建具を再利用しています。

台所 洗面
 台所 / 洗面 

 台所は化粧天井板に杉の源平を使いました。ここにも天窓があり大変明るい空間になっています。
 流しはキッチンハウス製。小さな収納棚も一緒に作ってもらいました。
 洗面とお風呂も部屋にあわせてオーダーしています。浴室の入り口が透明硝子で少し恥かしいです。

台所からの景色
台所からの景色
 今回は、良い材料を選び、時間と手間をかけた工事でした。大工も時間に終われることなく落ち着いて仕事ができたので大変ありがたかったです。
 
 うっかりと傷をつけたり汚したりすると、代替の材料がすぐには手に入りません。大工はもとより各業者にも充分注意させ、養生を完全にする事を指示しました。
 
 しっかりと腰を落ち着けてやるといいものができます。工事中、見学に来られた方々も「イイネェ。これは落ち着く。コンパクトに全てものがそろっている。こういう家がほしかったなぁ」と言われた事が印象に残りました。
現場監督 村上 幸男
このページの先頭に戻る