アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

Q5.住宅団地の施工

A5 1軒1軒手作りなのですから、出来不出来があって当然です

「住宅団地で、仮に売値が3000万円の家が10軒あったとすると、10軒とも施工業者(いわゆる工務店)が異なるケースは良くあるわ。だから、『見かけは同じでもよく見て買わないと、施工ミスや手抜きがあって、高い買い物をした』ということになりかねないの」

「うわぁ・・・ こわいなぁ。でも、なんでそんな事になるの?」

「ゼネコンや、ハウスメーカーの住宅団地があったとしても、『自分の社内の大工に施工をさせている』というケースは、ほとんどないのよ。たいていは下請けにだすの。社内で大工を抱えるなんて、年がら年中仕事があるわけでもないし、そもそも人件費も高くつくでしょ。必要なときだけ頼む方がトクな訳よ」

「ふーん・・・ でも、みんなに仕様をちゃんと言っておけばそこそこの仕上がりにならないの?」

「わかってないわね。
 下請けさんの中には、きっちり仕事をする大工もいれば、手抜きをする大工さんもいるの。また、5・10年後の事を考える監督もいれば、建てた後は自分の名前で売るわけではないから『どうでもいいや、儲かれば』という監督もいるのよ。
 たとえばね、下の2枚の写真を見てね」

壁断熱A
壁断熱B

さて、どうかしら? 」

「うーん、よくわかんないなぁ」

「Aの写真の方は、間柱の横からタッカーで留めてるでしょ。これだと、断熱材が内側の壁に引っ付かなくて、隙間ができるの。施工は簡単だけど、断熱効果は下がるし、結露も発生しやすいわね。
「Bの写真の方は、間柱の上からタッカーで留めてるでしょ。これだと、断熱材が下地ボードにぴったり引っ付くから、断熱効果は高くなるの。でも施工は少しめんどくさいわね」

「うーん。おねえさんがいいたいのは、『手作りだから、仕上がりが違う』ということ?」

「そうね。めんどくさいけど、ちゃんとやろうとおもうかどうかは、下請けさん次第ということね。
「たとえば、売値3,000万円の建売を『2,500万円で作れ』と下請けにいったとしましょう。受けた仕事を2,200万円で作る工務店もあれば、2,000万円で作る工務店もあります。どこでケチるか・・・当然、目に見えるところ(設備、床材、サッシ・・・)を削るわけにはいかないですから、目に見えないところを削りにかかる訳。基礎を減らす。筋交いを減らす。補強金物を減らす等々といったところね。そうした家は、当初は他の家とかわりないのですが、何年たって家がひずんで来たりすることもあるの」

「こわいなぁ」

「わかりやすい例をあげるわね
 街を歩いていると、ブロックで塀を作っている現場がよく目につくでしょ。本来は、ブロックといえども、足元を150㎜以上ほって、敷バラスという石を引き、その上にTの字型のコンクリート基礎をつくるのが本来のやり方ね。Tの字は無理としても、コンクリートを打って鉄筋をブロックの間隔ごとに立ち上げるべきなのですが、『まったく基礎をつくらず、土の上に“ぺっ”とモルタルを薄くぬってそのままブロックを積む』施工が結構多いわよ。(左官屋さんにいわないとたいてい“ぺっ”で終わるわよ)
 でもね。できあがってみると、基礎を打とうが打つまいが出来上がりはまったく気にならないでしょ。でも、5年10年経つと少~しづつ傾く事になるの(門扉を支えている場合は、ほぼ必ず傾くわね)。
 もし、建売住宅を見に行くのであれば、業者さんには嫌がられるかもしれませんが、床下収納庫をめくって断熱材が入っているか確認したり、押し入れの天井をめくって、柱や筋交をとめる補強金物にちゃんとボルトがとまっているか確認のが大切ね」

「はーい」

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