アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

Q8.耐震偽装問題

A8 「見かけが良ければ売れる」という消費者意識が変わらない限りなくなりません

「いくら検査を厳しくしても、設計士の免許制度を厳しくしても、根本的なところを改革しないとダメだと思うわ。
 今のマンションは『見かけが良ければ売れる』でしょ。たとえば、販売価格が3000万とするでしょ。1軒は150㎡、もう一軒は100㎡。がまくんはどっちを買う?」

「そりゃ部屋が広い方がいいに決まってるじゃん!」

「そうね。じゃあ、販売価格が同じで、1軒は『全室床暖房。風呂にテレビ付。IH調理器具付』、もう1軒はごく普通の設備だったとするじゃない。
 がまくんはどっちを買う?」

「ぱっと見た目は同じなんでしょ? だったら当然、設備のいい方だよ!」

「そうねぇ。それが自然だわね。でもね、家の狭い方や設備のない方は、本当はその分販売価格を下げられるはずでしょ。でも下げれないってことは何か別のところに費用がかかっていると考えなくっちゃダメね。もちろん、単に割高な場合もあるけどね。
 一戸建てを買うときは、地盤を調査したり、近所を確認したりするでしょ。本当は、マンションを買うときも同じなの。建物の強度を調査したり、近所=マンション管理組合を確認したりするのがいいと思うの。『見た目は地味だけど、しっかり建てられてて、共有部の管理もちゃんとできている』マンションを勧めるわ。
 でもね、そうした地味なマンションは余り人気がないのよ。むしろ、いろんな設備がついて、見た目がきれいなマンションの方が価値があると錯覚されて売れてしまうの。こういう現状の元で、もし、がまくんがマンションのデベロッパーだったらどういうマンションを建てる?」

「そりゃー、商売だから売れるマンションにすると思うよ」

「そうね。だから、どうしても見た目が一緒でコストダウンできる構造部分が犠牲になるってわけ。こういう風潮をなんとかしないと根本的には直んないわね。 ちょっと考えてみて、がまくん。コーポラティブハウス(住民参加型協同住宅)って知っているでしょ? 協同住宅を建てる前に、設計士と工務店と住民が集まって、どういうレイアウトにするか、どういう構造にするかを皆で話し合って造っていく住宅ね。この場合、『誰が住むか』が見えているし、どういう家がいいのか皆で十分話し合って勧めるので、『見栄えだけがいい住宅』になることはないわ」

「つまり、僕達が、ちゃんとした目を持たないといけないってことね? 
 先生、今日はちょっと説教っぽかったよ」

「ごめんね。ひさびさの登場だから、ちょっと張り切っちゃった」

このページの先頭に戻る