アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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町家探訪

9.沖縄県竹富島 大山家・上勢頭家(続)

(沖縄県竹富島)

荒木 この家を使っていて、いろいろと不便なところとかあると思うのですがどうですか?
大山 私は不便さを感じていません。できるだけ先人のいいところを残したいと思っています。島全体が共有の財産という感覚でいます。ウツグミといって、助け合って力を合わせるという精神です。その精神があるというのは素晴らしいことだと思っています。

荒木 こちらの柱はイヌマキですか?
上勢頭 実は自慢の柱なんですが、桑の木の芯でできています。
荒木 床は檜ですね。
上勢頭 本当は福木の板にしたかったんですが、どうしても手に入りませんでした。素っ裸で寝転ぶと汗を吸い取って涼しいんですがね。残念です。

荒木 上に字が書いてありますね。
上勢頭 家で一番高いところにある棟木には、必ず文字を書き込むようになっています。
荒木 なんて読むんですか?
上勢頭 『天・官・賜・福・紫・微・鑾・駕』と書いてあります。天から幸福を賜りますように、光り輝く永久の家となりますように、という意味だそうです。

 天井だけではなく、床にも竹が使われています。
荒木 この竹は小浜竹です。肉厚が厚いので、私が乗っても平気です。
白井 大丈夫ですか?落ちないで下さいね(笑)
上勢頭 通風性を良くするためですね。

白井 このお宅をここまで保つのに何が一番大変ですか?
上勢頭 棟木を見た時に、ひいおじいちゃんの名前が入っていて、大正11年という年月日が入っていたのを見た時、家を造るとはどういうことかということ、この家に住んでた代々の人たちとのつながりを感じました。

荒木 この竹富島は台風がすごいですから、雨戸にかんぬきを入れて、ここにはついていないですね。
上勢頭 台風の時はかんぬきを押し込んで、雨戸を閉めて、棒を通して、内側を紐で縛るというのが台風対策です。

上勢頭 伝統的な建物というのは通風性を良くして暑さをしのぐということもですけど、風対策も必要になってきます。この暑さ対策、風対策を繰り返すことによって、地域の風土に根ざした建物というのは文化だということがいえると思います。
白井 建物だけではなくて、お祭りもそうですし、歌もそうですし、語り継いでいく人がいるからこそ今生きているのではないでしょうか。
上勢頭 伝統的な景観の中でどんな生活が行われているか、これが大事なことなんですね。

白井 竹富島では、すさまじい自然環境の中、ちょっとでも快適に過ごすにはどうしたらいいかという先祖代々のいろいろな努力が今なお竹富の家に住むことを可能にしているのではないかと思います。そしてもう一つ忘れてならないのは、ウツグミの精神ですね。この精神があるからこそ、島全体の統一した家並みを保存することに成功しているんじゃないかと思います。

30分番組のため、一部省略して掲載しております。
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