アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

煤竹を使ったリフォーム

 典型的な田の字型の古い平家のお住まいです。
 お住まいが手狭になってきたので、2Fの屋根裏を部屋として使えないかと相談を受けました。

先代から続いている古いお住まいを直す


吹き抜け天井 全景

 さっそくお伺いし、屋根裏にあがらせていただくことにしました。
 玄関の天井にはテックスがはってあり、天井点検口から屋根裏に入ると一面に藁が敷き詰められています。
 かなり広い空間でしたので、十分部屋にできるとお伝えしました。

施工前・施工中の写真

 このとき、天井裏に煤竹が敷き詰められているのに気づきました。
江戸末期の建物で、200年以上煤であぶられ、いい色になっています。なかなか入手困難な材料ですので、内部の化粧に使うことになりました。


玄関ホールから見上げる

 玄関入り口から2Fを見上げています。
 左手の階段から2Fに上がることができます。
 壁:漆喰塗り、階段:タモ集成材、廊下下天井:杉無垢板張、吹抜天井:ボード+EP黒塗+煤竹張り。
 照明器具と2F廊下の絵画はお施っさんの提供です。

2F廊下から玄関を見下ろす

 2Fから玄関を見下ろしています。
 1F床:欅縁甲突板、2F床:松38㎜張。
 塗装は、1F床:クリアワックス掛、2F床:オスモエボニー塗、柱・梁:墨入ワビスケ塗。
 黒と白のアクセントを強調した仕上がりになりました。

2F廊下

 滑車はお施っさんのご希望で母屋木に固定しました。
 煤竹が母屋木の上を通っているように見えますが、改修のため上から張ることはできません。
 それで、約1m毎に煤竹を切断し、フィニッシュ+小西ボンドで固定しています。
 煤竹は、大変汚れていましたが、お施っさんに掃除していただいたので助かりました。

ホールから応接入り口を見る

 玄関ホールです。
 もともと、階段が見える部分の手前に壁がありました。今回の改修で、玄関ホールを横に1m広げているのです。
 「真壁」のようですが、実は、壁面には断熱材を充填し、大壁にしたうえで付柱・付梁を入れました。
 和風の雰囲気を保ちながら暖かい空間にしています。

和室入口引戸 : 2Fホール床

 左の写真は、和室入り口の建具です。塗装しただけなのですが、新調したように見えます。
 右の写真は、2Fホールの床です。松板1等厚38㎜にオスモウッドワックスのエボニーを塗りました。
 ちょっと暗すぎるかな?とも思ったのですが、吸い込みムラや、節周りがきれいに仕上がり、古民家風になりました。

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 これだけふんだんに煤竹を使ったことはなかったです。もし、買って張るとすると、百万円近くしますので…。
 でも、あちこち、割れていたり、腐っていたり、太さが不ぞろいだったりしたので、施工は大変でした。
 もともと、内装用ではなかったので(あたりまえですが…)、竹の切り口が斜めになっており、そのままでは下地ボードに接着できません。それで、一本づつ側の加工をし、フィニッシュと小西ボンドで接着したのです。
 できあがってみると、壮観の一言。大変贅沢な使い方です。
  加工が大変なのを見かねて、お施っさんから、「やっぱりクロスにしましょうか?」ともいわれたのですが、私から強くお勧めし本当に良かったです。
 この文章をお読みの方で、屋根裏に煤竹のある方は再利用をご検討されたらと思っています。
現場監督 荒木 勇
余った煤竹で作った竹塀 : さるすべりの把手
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