アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

注文住宅 鎧張の家

左:母屋 右:新居

 南丹市、某所。
 昔ながらの古民家の向かいに、息子さん夫婦が住む新居を新築することになりました。
 外観は、既存の建物に合わせ、できるだけ昔ながらの雰囲気を復元しています。
 一方、屋内は、現代風の内装になっています。
 
 今回の工事は、外部鎧張り(外張)に内部一般仕様という工事内容で、全体的に上手くおさまるかが課題でしたが、仕上がってみるとそんな問題は一気に消え去りました。当初のコンセプト通り本当に良い家に仕上ったと思います。
 今までも思っていたのですが、おなじ工事をするなら薄く広くではなく、ある部分に重点を置きメリハリをつけて施工することの大切さがよく出た建物だと思います。

外観は「真壁風だが、実は断熱優先で大壁に付柱」

道路より望む

 道路から新居を見ると、手前の植木が大きく繁り、全体を見ることができません。
 でも、大変どっしりとした雰囲気は伝わってきます。

北東外観

 敷地内に入り、建物に近づいてみました。
 腰は鎧張り、足元は御影の延石。
 
 腰上は漆喰塗、アルミサッシを覆う格子はわびすけ塗です。

北東外観(詳細)

 躯体の柱の間に切り込んで、鎧を張っているように見えます。
 
 でも、実は違います。
 断熱・気密性能を優先するために、全て付柱・付梁・付土台となっています。
 鎧の内部側に布基礎の立ち上がりがあります。

北西外観

 反対側から見ています。
 2階に虫籠窓も見えます。
 実はこの内部にFIXガラスが収まっています。
 
 目次の写真は、虫籠を内部からみたものです。

北西外観(詳細)

 柱は桧、鎧は杉、土台はヒバで施工しています。
 躯体を組んでから外壁の化粧材を取り付けているため、御影の延石は後ではめ込んでいます。
 (そうしないと、付材を隙間なく納められないからです)
 大変手間がかかりましたが、ご家族の方に本当に喜んでいただきました。(黒川君が「岩手から来た宮大工」と呼ばれちゃいました♪)

玄関上外部

 玄関上は下屋がそのまま立ち上がっていて大変開放的な空間に仕上がっています。
 ここに見えている部材も、建物外壁部分は全て付柱・付梁です。
 
 冬場、大変寒い土地ですので、できるだけ気密の高いお住まいにするよう配慮しました。

玄関上軒裏

 垂木は、80*45と背を大きくしました。雪の重みに耐えられるよう配慮しています。
 野地板は後で、隙間が開いて白木が見えたりしないように、施工前に実塗をしています。
 
 自分で言うのも変ですが、かっこいいです。(笑)

内装は「予算を考慮し、シンプルかつ近代的な仕様」

 ここから室内です。
 室内は、天井・壁ともクロス。
 床はフロアー合板、建具はTOSTEMとごくごく普通の仕上げです。

リビング

 でも、お客様の趣味・主張がはっきりしていたことで、方向性が統一され、とてもシンプルかつモダンに仕上げることができました。
 特に色調は、天井と壁クロスの白系以外はすべて床色のダークブラウン色合わせに仕上げましたので、内部のスクエア感がより一層引き立ったように思います。また、お客様の選ばれた照明器具もアクセントになり、更にモダンな雰囲気を醸し出しているように思います。

キッチン

 キッチンは、アイランド型。
 
 テーブルはタモ積層材を使い弊社で作りました。
 
 これも、こげ茶に塗って質感をあわせています。
 



 久しぶりに、新建材を使って内装をしたのですが、全体に統一感がとれてかっこよく仕上がりました。
 アクセントに色を変えたストライプ状のクロス。そして照明器具のセンスがすばらしいですが、これらは、すべてお施っさんに選んでいただきました。

 工事中の写真です。
 基礎は普通にベタ+布基礎をしています。
 これをみると、鎧張の内側に配筋されているのがわかると思います。
 また、断熱材は、壁には24kgのGW100mm詰め込みました。
 通常のGWより気密性が高い商品です。
 最後は、鎧張製作中の写真。
 葛石が入ってないのがわかりますね。

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 今回の建物は、お客様の「外部の鎧張りを特にかっこ良くしたい」という要望もあり、外部の鎧張と付柱をいかに自然に見せるかが一番のポイントだと考えていました。プレカットはもちろん発注前から入念に打合せをし、梁、母屋、小屋束の関係やバランスを事細かに検討しました。中でも、玄関廻りの躯体の梁が付柱、付梁、付束と繋がる部分の納まりを考えているときには「自然に見せるのはちょっと無理があるのかなー」と、少し弱気になっていました・・・。
クロス屋さん、頑張れ!
 でもそこは、さすがに弊社職人の西川さん、黒川君はすごいです!
 私の書いた若干アバウトな寸法図を基に、自分達で施工方法を見出して完璧に納めてくれました。さすがです!!\(^o^)/
 
 それに、写真のように昔の建物と違いベタ基礎の上に、立上りの側面も鎧張り。
 外壁の木地部分とコンクリート立上り部分の表面を合わさなければならないのでかなり悩みました。
 そこでも「さすがっ!」と思ったのは、基礎を施工してくれた東建材さんの施工精度です。
 当たり前と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、基礎の立上りの幅や垂直、水平を正確に出すというのは相当な技術です。それらが上手く噛合った結果こんなにかっこ良く仕上がったのだと思います。本当に、職人さんたちの技術には感服しました。
現場監督 米沢 和也
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