表格子引戸の家
京都特有の奥行の長い敷地に2階建木造住宅の新築工事をさせて頂きました。
「旧市街地型美観地区」に位置するので、 屋根の勾配や材種、外部の塀の仕様などに制約をうけたこともあり、地域の景観を配慮した仕上がりとなりました。
玄関横のタテ格子は3枚引込みの可動式となっていて、和室の窓からお庭を眺めたい時には開放し、より外部を身近に感じることが出来ます。
小ぢんまりしたお部屋なので、天井高さを抑え、お茶室のような落ち着くお部屋をイメージしました。
入口上部の欄間にガラス窓を設けることによって、玄関との関係も面白くなったと思います。
障子の組子のデザインは、横桟の高さを揃え統一感を持たせました。
玄関から廊下の天井も和室と同様に建具や窓の高さに揃えて低く抑えました。
廊下に沿って収納や棚板を並べ、廊下をより楽しく快適に歩けるように計画しました。
床にはクリ材、天井には杉板、枠にはトガ材を、それぞれ木目の異なる材をバランス良く使わせて頂きました。
リビングは梁材を化粧とし、天井を高くとったので、先程までの抑えた天井高さから一気に解放的な空間へ。
造り付の家具を配置し、畳コーナーにPCコーナー。お部屋をすっきり使って頂けます。
リビングの天井には吹抜けを設け、開放感と採光を。
建物のちょうど中央にリビングがあるので、お部屋が暗くなりがちですが、そのようなお部屋には、天窓からの採光はかなり効果的です。
天井の杉板も無機質な白壁と上手く調和しています。
システムキッチンの背面に水屋やレンジ台を並べてもゆったり作業できる寸法としました。
勝手口の外には狭いながらもゴミ置場を設けました。
奥廊下には中庭からの光と風を採り入れ、そしてそれをリビングへ送る役割を果たします。
何よりお庭の植栽が心を落ち着かせてくれます。
ゆったり落ち着けるスペースとしました。
便器などの器具類は全てシンプルなものをお選び頂きましたので、それぞれが主張し過ぎない纏まったデザインとなりました。
PCコーナーは、ご家族で並んでお使い頂けます。
キッチンからはお子様の勉強している姿を眺めながら、安心してお料理してもらえます。
階段上り口にある引戸は、普段は解放、冬場の暖房時用に設置しました。冷気が吹抜けから駆け下りてくるのを防ぐためです。
階段と手摺にはタモ集成材を使い、手触り、足触りの良い無垢材で仕上げました。
手摺壁はトガ材の手摺に見切材を設け、大きい開口をつくることによって圧迫感のないデザインとしました。
2Fのお部屋は解放的な空間となるよう2枚引込み戸を多用し、開けているときには広く多機能なお部屋となるように計画しました。
もちろん建具を閉めると、個室として使えますので、引込戸は隣りのお部屋との連続性を強調したい時に有効な仕様です。
2F廊下からみた吹抜です。
シーリングファンにより空調の機能をより快適にお使い頂くことができます。
スポットライトはご主人のご要望により設置しましたが、電球色の明かりにより雰囲気が柔らかくなったと思います。
私のなかで「普通」という言葉の意味を、「シンプルな無理のない」という意味に解釈し(勝手に・・・)、 どれだけシンプルに納められるのかということに拘りを持って、工事を進めさせて頂きました。
各納まりについてはどうすれば綺麗に、スッキリ納まるだろうかと、常に考え、相談しながらの工事となりました。
その中でも、特に苦労したのは、枠材の納まりです。
建具、窓、見切り材等のそれぞれの納まりはもちろんのこと、枠と枠との取合い、枠と天井、床、壁との取合いなど。
それぞれの納まりについて、詳細図を描き更には大工さんと綿密に打合せを行いました。
そういった納まりが随所に現れているのが今回の建物だと思います。
いかに余分な線を排除し、シンプルに納めるのかといったことに拘った、とてもバランスの良い纏まりのある家に仕上ったと思います。
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