京町家の新築III
京町家風の外観を再現したいというご希望を受け、法22条地域内に新築させていただきました。
1FにLDK+水廻り、2Fに浴室+WCという間取りではありますが、内外装共に無垢材をたくさん使い、使い勝手と細部納まりに拘りを持った、快適で温かみのあるお住まいとなりました。
布基礎を隠して - 着工 ー
布基礎を見ていると、町家風の外観になるとは、想像しにくいかと思います。
当社では、建て方の時、親綱+安全帯を必ず着用することにしています。安全第一ですね。
野地板にはベンガラをあらかじめ塗っておきます。
東西の外壁は焼き板を張っています。焼き板にも通気をとっています。
京町家風とはいえ、在来軸組工法での建築確認申請を行ったため、東西の袖壁に荒壁を付けることになりました。
2F排水管を隠すための下地を作っています。耐火二層管をトミジ管というようですが、昔は東洋トミジ社がつくっていたたからだとか。
玄関には、下地壁、取次には、塗回壁がつきました。
いずれも、当初は予定されていなかったのですが、施主様のご要望で追加になりました。
外観は京町家、内装は数寄屋風 - 竣工 ー
外観は、一文字瓦+前包・須覆という伝統的な意匠。
構造上の問題から、虫籠窓を開けることはできませんでしたが、付長押の間に収めると、比較的すっきりと見せることができました。
法22条地域のため、玄関・出格子共に一般的な木製建具を入れることができました。
お住まいになられないので、キッチンはシンプルなつくり。
勝手口は木製ですが、お庭はこれからです。
外観は、1F・2Fの階高をそれぞれ低く抑えることによって、町家の佇まいを忠実に再現。町家を改修したのでは?という仕上がりとなりました。
構造上の問題から出格子を設ける程の開口はとれませんでしたが、木質の仕上材に左官塗り壁といういかにも京都らしいしつらえとなりました。
玄関は、間口一杯をタイル貼りの土間スペースとし、同じく間口一杯に設けた天窓からの採光によって、広く明るい開放的なエントランスとなりました。
階段まわり、当初はクロス仕上の予定でしたが、ジュラックスCを塗っています。
2F和室の窓。実はこの窓は3重になっています。内側から、紙張障子+木製ガラス戸+木製網戸です。
べんがらを塗るところと、白木を見せるところのコントラスト。最初は気になりましたが、できてみれば、すっきりとした雰囲気に仕上がりました。
今回は、木製建具をふんだんに使いましたが、法22条地域ならではの贅沢な仕上がり。大変よい経験になりました。