新築京町家I

このプロジェクトは、もともと古い町家を改修する予定でしたが、諸事情があり、新築することに切り替わりました。
ただ、町家の雰囲気も捨てがたく、できるだけ昔の雰囲気を再現することになりました。

施主様のご要望により、建物正面は京町家の外観を忠実に再現。
木部には全て無垢材を採用。軒裏は全て杉と松の無垢材で構成し、また、柱や梁などは桧の無垢材を採用。仕上げは改良ベニガラ塗装。
壁面の仕上げには漆喰。施主様と打合せた色を、色粉を調整しながら再現。
開口部には木製建具を採用。機密性・断熱性・防音性を確保するために部屋内にサッシを設置。

下屋の瓦は小瓦(80判)の一文字葺き。下地の化粧板は厚さ30mmの松。
建物全体の意匠に大きな影響を与える下屋。特に下屋の【勾配】と軒の【出幅】を入念に検討。
出格子は2間幅の呉服屋格子。玄関横は腰板貼りとし、建具は木製の竪繁格子戸を採用。


玄関及びミセの間6畳は京町家を出来る限り再現。
土間は御浜石の洗出シとし、沓脱石は古い庭石を再利用。木部は主に桧の無垢材を用いて着色なし。
舞良戸や障子、格子戸などは全て木製建具を採用。


桧普請のミセの間。柱はもちろん、鴨居や長押、束に廻縁といった部材に桧を採用。
障子を明けるとサッシが現れて、その向こう側に呉服屋格子が見える。
ミセの間と続きのオクの間はLDK。
床にはタモの無垢板フローリング貼りとし、天井は桐の無垢板貼り。

2階の寝室及び子供部屋は、建具や床はPanasonicなどの新建材を、壁はビニールクロスを用いて、比較的利口に仕上げています。
全体の予算を考えてメリハリをつけています。
在来工法でありながら、伝統軸組工法のように見せる工夫や、既存京町家よりも高い【階高】を巧く魅せる工夫などがいっぱい詰まった新築京町家。
伝統を現代に引き継いだ新築京町家に仕上がったと思います。