準棟纂冪のある京町家 I

吹抜の準棟纂冪を生かして直す
少しでも快適に過ごせるようにと、今の町家の間取りを生かして改修することになりました。
お施っさんのご両親がご高齢でもあり、町家でありながら、バリアフリー仕様にしました。
左の写真は準棟纂冪(じゅんとうさんぺき)といって、町家特有の木組です。通常、通り庭上部の吹抜に組み込まれており、柱同士を、梁・ササラのみならず、細かい貫で繋いでいます。
建物の強度を増すためというよりも、むしろ、大工さんがかっこよく見せるために、いろいろ工夫して組み立てたものです。


外部はアルミサッシをそのまま残し、町家風に縦格子で統一しました。
ビスを隠すために、太鼓鋲で隠しています。
ポストも格子の隙間を切り込んでいます。
玄関建具もアルミでしたが、木製の框戸に戻しました。
内玄関は、板石を敷き、2分御浜石の洗出仕上としています。通常は、板石の面を取って15㎜ほど洗出部分を下げるのですが、バリアフリー重視で面一にしました。
(苦労した割には、目立たない仕上げになっています)


床は、リビングと同じ高さまで床を上げ、スタイロフォーム40㎜充填の上、オスモカラー塗(エボニー)。
壁は、全面、色粉入漆喰で塗りなおし。構造材(柱・梁など)も、わびすけで全面塗りなおし。
天井は、グラスウール100㎜充填の上、ボード+こげ茶のクロス貼。
照明器具は、いろいろ悩みましたが、蛍光灯スポットライトで統一しました。
奥吹抜突き当たりは、お施っさんが選ばれたステンドグラスが2枚はまっているのですが、写真では良くわからず残念です。
左の写真をマウスオーバーすると、施工中の写真に切り替わります。
側柱と通柱をつなぐササラが白蟻に丸々やられていたので、1本入れ替えています。
H380の米松を丸く角を取り、入れ替えたのが目立たないようにしました。
右の写真をマウスオーバーすると、施工中の足場が組まれているのがわかります。
以前、既存の壁をめくらずに上塗りされたため、中塗りから剥離しほとんどの壁がばさ~っと
落ちてきました。_| ̄|○
2tトラック2台分の土を搬出しました。左官屋さん本当にご苦労様でした。


リビングです。キッチンカウンターは新調。
正面の舞羅戸は既存建具をわびすけ塗しています。
水周り(洗面・浴室)はごく普通です(^^ゞ。
ただ、浴室は、高さを1900㎜に切り縮めてもらいました。


前栽は、すごく大きな木が植わっていたり、社があったりしてちょっと狭かったのですが、
今回、思い切って、ほとんど処分し、寒椿(成長しません)を配してみました。
右の写真は階段です。大壁だったのをめくって漆喰塗りに変えたので、ずいぶん広くなりました。


2Fは表2部屋を直しました。
左写真の建具は、現場にある建具の幅が合わないので、弊社在庫と交換しました。
いわゆる「おたふく」といわれるデザインです。
天井はクロス張りですが、べたっと貼ってしまうと面白くないので、梁型だけ、
こげ茶のクロスに張り分けしました。
床は、杉板1等材+オスモクリア塗です。なんと、3時間くらいで乾くので大変助かりました。
(以前は、オスモというと、丸1日乾かなかったです)
左の写真の奥の小窓から除いた眺めが右の写真です。
本当にきれいで惚れ惚れしますね~。昔の大工さんに感謝です。