堀川 京町家
1年前、お風呂と洗面とトイレをリフォームさせていただいた現場です。
その仕事を気に入っていただいて、お住まいの内部をほぼ全部リフォームすることになりました。
本当に嬉しいんです。
今回は、そのお施っさんの気持ちにこたえて、階段の意匠を頑張って考えました。




工事中の写真です。
いつものとおり、床を全部バラし、土間コンを打ち、柱のイガミを直せる範囲で直し、痛んだ梁を入れ替えたりしています。
屋根も雨が漏っていて、垂木が腐っていたり、野地板がふにゃんと曲がったりしてるので、気になるところは入れ替えます。
よく、通りがかりの人から「改修やのに、すごく日数かかってるね~」なんていわれるんですよ。これが(笑)。

玄関から通り庭を見ています。
玄関框とか式台とかは、水目桜を入れてます。
本当にきれいなんです!
いつも岡利さんに入れてもらってます。
柱と荒壁を除いてぜ~んぶやり変えています。
(今回も一部の画像に、施工前・施工中の画像をリンクしています)

もう少し奥へ進んでみましょう。
本当にきれいです。天井からの明かりがさんさんと降り注いでいます。
建具の硝子を真ん中だけ透明にしたんですが、これがまた玄関の縦格子とマッチしていて良い雰囲気です。
施工前は、階段や増築した二階にさえぎられて暗い空間でした。
この光が降り注いでいる空間から上を見上げると・・・
↓ ↓ ↓ ↓ ↓

できるだけ、光が漏れるように、たくさんのスリットを作り、壁をできるだけ作らないようにしました。
美しいです。

さて、階段を登ってみましょう。
2階に上がりきると、正面に洗面の格子が見えます。
はめこみの窓格子は、既存の格子にあわせました。
いろんなところから光が漏れ、反射しています。
町家の空間を上がったり降りたりできる感じですね。

天窓から光が降り注いでいます。
物置にいく階段としては、もったいないほどのつくり。
今回、壁面に窓を2つ、天窓を5つ新設しました。
(できるだけたくさん取ろうということになりました)
ちなみに屋根も葺き替えています。
↓↓↓


小屋裏丸太がきれいだったので、化粧で見せています。
もともと、小屋裏に収納が出来るような梁がなかったので、2Fの天井をめくり、新しく梁を入れています。
ここが、荷物でいっぱいになると思うと、ちょっと残念です(笑)
ちなみにこの部屋は宮本くんが施工しました。

小屋裏を後にし、階段踊り場に戻ります。1Fまで見下ろせるこのスペースは、
荷物を揚げるのにも使うことができるようにしています。

振り返ると、2階廊下を見下ろすことができるんです。
ここは、もともとどこからも見えないデッドスペースなんです。
2階奥座敷の横をとおり、ベランダまで行けるんです。
無駄な空間も、使い勝手を考えて有効利用しています。はい。
(カーソルを重ねると別角度から見ることができます)

では、階段を降りてみましょう。
前方に、謎のスペースがみえます。2階廊下と洗面の天井です。
ここに布団を敷いて天窓を見ながら寝ることもできるんです!
(ちょっと危ないですが・・・)
2階廊下を左に曲がると、多目的室です。

天井には網代を貼り、エアコンも埋め込んじゃいました。
お施っさんはもともと1階しか使っておられなくて、2階は来客用に改修したのですが、この空間をすごく気に入っていただいて、2階で過ごしたいって言ってくださいました。
すごく嬉しいです。

多目的室から奥座敷を見ています。
この写真のすぐ左手に先ほどの細い廊下が通っています。
この部屋は天井以外あんまり触ってないです。でも一番きれい・・・
床の間も違い棚も、ごく普通の収まりですが、落ち着きます。
変な細工しないでシンプルなのが一番ですね。

今回、特に苦労したのが階段と、給排水
階段は化粧でほとんどを見せることになったので組み方をどうするか、大工さんと一緒にかなり悩みました。
2階の排水も防音のためにトミジを巻いてるんですが、場所をとるので本当に困りました。
今回の工事は、京都新聞にも取り上げてもらいましたが、お施っさんに喜んでいただけたのが一番嬉しかったです。
化粧階段をつくりたい! と、いう方がいらっしゃったら是非僕にやらせてくださいね!