小さなゲストハウスI

小さなゲストハウスを改修しました。
比較的狭い道路に面している長屋建ての建物ですが、外観は車を入れるために柱や壁を撤去されています。
ご予算にあわせて、昔ながらの風情に戻すことにしました。
小さなゲストハウスI 1) 施工

改修前の外観です。柱を抜いたため、オモテが大きく下がって雨漏りしていました。
まず、ユンボを入れて、内部をほぼ全て解体します。内壁や天井にベニヤが貼られていましたが、それらをめくって土壁と構造材が見えるようにします。

表道路と隣地に足場を組んで、屋根野地や外壁を解体します。
傷んでいる梁は取り替えます。
お隣のご厚意で隣地内に足場をたてさせていただくことができました。 屋根の工事の場合、土やガラが落下することもあるので、迷惑を最小限に抑えるように気を遣います。

新しく壁をつくる部分に基礎を打ちます。
屋根の野地を張り替え、きれいになりました。
荒壁土を練るための舟を置く場所がないので、バケツに小分けして造ります。

浴室を板張りにするので、今回はハーフ浴槽を使います。
2Fはコストを抑えるために、大壁にします。下地の桧端板を張っています。
電気・ガス・水道は全て配線配管をやり直しています。
スカイトイレが寂しそうです。
小さなゲストハウスI 2)竣工

1Fを半間ほど減築し、下屋根を新設しました。大屋根は鈑金瓦棒葺ですが、下屋は小瓦一文字葺です。外部は黄漆喰。平格子・玄関建具など、外観はほぼ全て新しくしています。

お風呂はTOTOのハーフバス。入口、窓、壁とも、桧材をふんだんに使っています。

この空間はもともと土間だったところです。床組、建具、天井など全て新調しています。ミセニワの壁はクロスです。
外国人の方をターゲットにしたゲストハウスにされるようで、インテリアはお施主さんがセレクトされました。

火袋は少し天井を下げて断熱効果を高めています。
床板は外材の松の柾板です。階段が少し写っていますが、勾配を緩くするためにナカノマにはみだしています。
壁はクロスと左官仕上が混在していますが、違和感なく仕上がっています。

庭の見えるザシキです。
竿縁天井は杉突板貼。壁は聚楽調珪藻土仕上。照明器具は三浦照明です。
照明や調度品も、夷川の家具屋さんでお施主さんがセレクトされました。

外観を重視したので、紙張障子が室内に出っ張りました。
この部屋はクロスを中心にシンプルに仕上げています。
天井は和紙貼り、お施主さんの要望で、天井裏にあった丸太梁を少し見せています。
特に注意したのは、大きくゆがんだ躯体を矯正する際に、長屋建てでつながっているお隣の建物を動かしたり傷めたりしないようにすることです。大工の西川棟梁が的確に現場指揮を執ってくれたおかげで、見事に建物が蘇りました。職人さんたち一人一人に感謝です。
現在非常に問い合わせの多いゲストハウス工事の、良い事例としてご紹介できるのではないかと思います。