京町家のリフォーム 断熱耐震 京町家
今回の京町家は、材料が大きく、壁もしっかりしている立派な建物だったのですが、それを、現代の耐震基準や断熱基準をクリアできるくらいにきっちり直しています。
長い準備期間を頂き、施工も1年ちかく掛かりましたが、やりのこしがないようにこだわって施工させていただきました。
京町家のリフォーム 1) 施工
まず、内部を解体し、足元に一つ石を据え付け、柱や梁を新設します。
阪神淡路大震災級の建物でも倒壊しないように、間口方向に柱を増やしたり、荷重が掛かっている部分には二重壁にするために、柱を抱かしたりしています。
← 補強の説明をしている足達棟梁です。
新しく新設する壁には、竹小舞を編んで、荒壁土をつけていきます。場所によっては、荒壁パネルを併用します。途方もなくたくさん壁土をつけたので、左官屋さんはくたびれています。
中塗壁を見つめる粟津大工。やっと左官屋が帰って仕事がはかどりそうです。
徹底的に断熱をします。野地板下、外壁面など、性能の高い断熱材(フェノバボード)を充填しています。
床面は、電気配線の関係で、スタイロフォームにしていますが
、これも二重に充填しています。根太組を2回しているわけです。
京町家のリフォーム 2)竣工
外部の町家格子は既存利用。戸袋、欄干、格子は新調しています。
ミセニワは、三和土土間。ミセノマは、中塗り仕上です。
床板は楢無垢フローリング。
写真に写っている建具は、大体新調しています。
建具の引き尻を見ていただくと、壁を補強しているのがよくわかります。
壁は漆喰仕上。天井は大和天井表しのままにしています。
床は全面床暖房を施しています。
昔ながらのようにみえる床の間ですが、実は、断熱のために、後ろの壁を二重にしています。
台所越しに、玄関をみています。
電子レンジ置き場の奥の壁は、荒壁パネル両面張りです。
火袋上部の壁は、中塗り仕上げです。
天井は断熱材を挟んで杉板を張り上げています。
側繋がすごく太いですが、これはもとのままです。
縁側は野地板が傷んでいたので、全て新調しています。
床と天井は杉板張。壁は漆喰塗りです。
表に見える手すりは、新しく新調しています。
軒桁は再利用しています。
二階の床の間も一階と同様に断熱をしています。
床の間の意匠は生かし、縁側の壁を補強しています。
今回は、耐震面・断熱面でこだわりの住宅を造る事ができました。
見えない部分も、力を入れて施工しましたので、半年経っても、なかなか化粧材の仕事に入れないくらいでしたが、おかげで納得がいく仕上がりになったかと思います。
長い道のりでしたが、また1軒古い町家の維持保存を果たすことができ、本当に嬉しく思っています。
京町家の耐震に不安がある方は、是非、一度お声掛けください。お待ちしています。