玉石タイルの京町家
銀閣寺近くの小さな京町家。『瓦が大分傷んできたので葺き替えたい』という依頼を受けました。でも、その後、トイレやお風呂を直したり、傾いている和室を直したり、蟻害の大きかったトオリニワも直すことになりました。
小さい頃からお住まいになっておられた京町家。素敵によみがえったと思います。
改修前の写真です。
もとの土壁が傷んだ上から張られたプリントべニアをめくっていきます。
どの柱にもシロアリが入った跡があり、芯が空洞になるまで食べられている柱もありました。知らずに生活してこられたお施主さん、大分ショックを受けておられました。
座敷の壁も、べニアをめくってみると思ったより傷んでいました。
手で押してブカブカする部分の土はいったん落して、土をつけなおします。
真ん中の写真は傾いた家の躯体を起こす中村棟梁。
次は、改修後を見てみます。
トオリニワです。
壁は白漆喰と杉の腰板張り、掃除のできない天井は汚れたら貼り換えられるようにクロス仕上です。
腐っていた土台の代わりに御影石をぐるっと入れてスカッとしました。
新しく作り直した前栽です。
心が和むような庭を望んでおられたお施主さん。庭を楽しむことを最優先したプランニングです。
格子戸の向こうのお風呂へは、庭の飛び石を踏んで入ります。シダやユキノシタなどの下草はお施主さんが育ててこられたものです。
濡れ縁に上る沓脱石は、置けなくなったお宅から引き取ってきたもの。雨に濡れると本当に感じがいいです。
座敷の壁も綺麗に仕上がりました。
玄関の格子戸は傷んでいた桟を差替えました。
手前の沓脱石は、庭の雰囲気を気に入ったお施主さんが、どうしてもココへも置きたいということで決まりました。お邪魔すると、いつも座っておられるお気に入りの場所です。
大きな開口から庭がきれいに見えます。
トイレ入口の網代の建具は『あらき古材倉庫』にある弊社在庫を使ってもらいました。天窓や照明の光に照らされて、近くで見ると本当にきれいです。
懐かしの玉石タイル、今もまだ手に入りました。どんな仕上りになるのかドキドキしましたが、古臭くなく、和風でモダンな感じです。
古い母屋部分と新しい水廻り部分の取り合いは、谷木(隅木)が入ります。
母屋の柱が微妙に傾いているので、それに合わせてピチッと納めるのは難しいのですが、中村棟梁が綺麗な仕事をしてくれました。お施主さんのお気に入りです。
また、お施主さんに喜んでいただけたことが、何よりです。
工事中や、工事後の写真を撮ってお渡ししたのですが、記念に大工さんのサインをして欲しいといわれました。
あわせて、僕もサインをしたのですが、真心でお付き合い出来たのだなと分かり、現場をまとめる者として本当に嬉しかったです。
本当に、ありがとうございました。