京町家風リノベーション

長岡京の某住宅団地。その一角にある昭和の建物を全面改修する事になりました。
外観は京町家風に。室内は、思い出を残すため、部屋によっては古い部材をみせることにしています。
リフォーム前 構造を傷めず、今までよりも安全に


和室の意匠は再利用します。







リフォーム後 思い出を残すお手伝い

純和風の外観です。付梁・付柱をし、内付のサッシに内付の格子を取り付けています。
板庇・腰板ともベンガラ塗。将来剥げてきますが、風合いを優先しています。
青い釉薬瓦はいぶし銀色に塗装。軒裏のモルタルも焦げ茶に塗って雰囲気がでました。

ブロック塀に下地をして杉皮女竹押。雨が掛かりにくいように、紐丸瓦の下に板金庇を付けています。
手水鉢と飛石(青石)は、お近くの石材店さんのご厚意で頂戴しています。
信楽焼の狸さんは、施主様思い出の品なので残しました。

お座敷をダイニングにしています。床脇に地袋を新調し、TV台に。
床はハードメープル、台所の天井はピーラー。座敷の天井は、吊直し、綺麗に洗って再利用しています。
キッチンには幅2.7mの食器棚を配し、その奥に食品棚を作ったので収納量は充分です。
右手前の柱は、どうしても取れないので、やむなく新調しています。

6帖の和室を1.5帖の水屋と4.5帖の茶室に作り変えました。
吊床・炉壇・洞庫も新調。窓も掃き出しだったのですが腰窓に変え、紙張障子を入れました。
白い湊紙は、西ノ内紙といい、施主さんのご希望で張りました。
左上にかすかにエアコンがみえています。あえてお茶室には設置しませんでした。


右手の杉ベニヤは、あえて昔の材料をそのまま残しました。
正面は珪藻リフォーム塗。右手の建具には家具に張ってあった蒔絵をめくって再利用しています。
建具の奥は、壁全面鏡張にし、部屋の広がりが感じられるようにしています。
トイレ設備は全てTOTO製。もともと浴室だったところです。緑色のクロスがアクセントになっています。


2F廊下は、極力天井高を優先したので、古い梁や補強用の火打ちパイプがみえています。
収納は、できるだけシンプルにするため、プッシュロック式です。
WICは、調湿優先のため、無塗装1等杉板仕上。ご要望を伺って、収納棚やパイプを仕込みました。

こちらも天井高を確保するため、傾斜天井にしています。梁が3本みえていますが、真ん中の一本は、既存の梁が邪魔だったので、新しく入れ直しているものです。
壁は土佐和紙張。床は杉板張。建具は、木建は地杉。フラッシュ戸はシオジ板目です。
天井裏が狭くなったので、換気排熱ファンを付けました。
近所の方から『昔を思い出すわ!』とか、『見違えるようになったわね』といわれると、結構嬉しかったです。
施主様も、工事中になんどもみにきていただき、改修を楽しんでおられたようで、嬉しく思っています。