2.住宅取得資金の贈与
平成17年12月31日をもって廃止となりました。
残念(T_T)
通常の贈与税
もともと贈与税は、相続税逃れとして生前贈与が行われるのを防止する目的があり、そのために相続税よりも高い税率で課税されています。
ですので、年110万円の基礎控除額を超えたら、すごい勢いで税率が上がっていきます。
通常の贈与税額の目安 | |||||
贈与金額 | 税 額 | (税率) | 贈与金額 | 税 額 | (税率) |
---|---|---|---|---|---|
110万円 | 0円 | (-.-%) | 700万円 | 112万円 | (16.0%) |
200万円 | 9万円 | (4.5%) | 1,000万円 | 231万円 | (23.1%) |
300万円 | 19万円 | (6.3%) | 2,000万円 | 720万円 | (36.0%) |
500万円 | 53万円 | (10.6%) | 3,000万円 | 1,220万円 | (40.7%) |
これでは住宅取得資金のような、まとまったお金を贈与するのは難しいですね。
相続時清算課税制度
そこで、平成15年に登場した相続時精算課税制度という新たな贈与制度の活用を考えてみましょう。これは今までの贈与税と異なり、『相続時に移転する財産を積極的に生前に移転させよう』という政府の考え方からでてきた制度です。
この制度は、財産の移転(贈与)が行いやすいように2,500万円の特別控除を設け、課税されることなしに比較的大きな金額の生前贈与ができるようになっています。

さらに、住宅取得資金の場合、特別控除枠がさらに1,000万円増え、3,500万円まで広げられています。
比較すると、以下の通りです。
相続時清算課税制度の概要 | |||
一般資金の贈与 | 住宅取得資金の贈与 | ||
---|---|---|---|
特別控除額 | 2,500万円 | 3,500万円 | |
適用対象 | 65歳以上の親が 20歳以上の子に贈る (代襲相続人含) |
親(年齢不問)が 20歳以上の子に贈る (代襲相続人含) |
|
適用財産 | 不問 | 住宅取得資金 金銭に限る 住宅用土地建物は対象外 |
|
税額計算 | その年までの特別控除額を超えた分に 一律20%の税率で贈与税が課されます |
この制度を利用して贈与すると、親が65歳未満であっても適用できるので、使い勝手はあります。
しかも、特別控除額を超えても20%止まりなので、相続財産の規模によっては、相続税よりおトクになるかもしれません。
ただ、お金じゃないとダメなので、『私の土地を息子の名義に書き換えておこう』というのは対象外です。
話はそれますが、『親の建物に、子供が親からお金の贈与を受けて改修して同居する』というのは、ダメです。建物が親の名義のままの場合、改修費を建物の所有者に贈与する事になるからです(行きは非課税でも、帰りが課税)。このあたりは、ややっこしいので、税理士さんに相談してしょう。
また、取得する家屋にも条件があります。
- 居住用家屋の取得
- 新築または中古(木造は建築後20年以内、鉄骨等は25年以内)
- 床面積が50㎡以上のもの
- 50%以上が居住の用
- 居住用家屋の増改築
- 工事費用が100万円以上
- 増改築後の床面積が50㎡以上のもの
- 50%以上が居住の用
京町家を買う資金は対象外です。築20年なんて・・・
残念です。_| ̄|○
でも、京町家を改修する場合は対象になります。(大規模な模様替も含みます)
一般的に、京町家を改修する場合、建築確認は取れません。
ほとんどの京町家は、準防火地域内に建っているため、1m2でも増築したら建築確認が必要です。
「大規模な模様替」ということで申請すればいいかと思います。
相続時清算課税制度の留意点
この相続時精算課税制度は一旦選択すると取り止めることはできません。よってこの制度を利用するにはいくつかの留意点があることを事前に理解し、慎重に適用する必要があります。主な留意点は次のとおりです。
- 他の相続財産と合算
-
この制度を選択した場合に、相続が発生したときは、この制度で贈与した贈与財産は相続財産として他の相続財産とを合算して相続税を計算することとなります。
相続税がかからないと思われる方は3,500万の枠一杯まで積極的にご利用ください。 - 贈与財産の価額は贈与時の時価
- 贈与後に価格が上昇するものはよいのですが、逆に価格が下がるものは不利になるかもしれません。
- 年齢は贈与した年の1月1日現在
-
贈与したときの年齢ではありません。
ですので、子供が20歳になった年はダメです。
(1月1日生の人はいいですが・・・)
- 制度選択以降は、従来の贈与制度は選択不可
-
毎年110万の基礎控除を利用して贈与していた人が、この制度を一旦利用すると、その後は、基礎控除を受けられなくなります。
- 毎年3,500万の枠があるわけではない
-
去年住宅資金として2,000万円贈与したら、今年は、1,500万円までしか非課税になりません。
(住宅でない場合は、500万まで)
それを超えた分は20%の税率がかかります。
それでも、最高20%なので、以前に比べたら、「子供のためにお金を使いやすくなった」のは事実です。
せっかく、ご両親からいただいたお金。大事に使ってほしいものですね。(^^)