アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

職人今昔

4.住まいは文化

 KBS京都の企画で、ミュージシャンの白井貴子さんと古い町家を探訪したときの印象をお話したいと思います。
 第1回放送分である吉田家は間口が7m余りある代表的な表家作りの京町家。表には潜戸(くぐりと)と店床机(みせしょうぎ)、一歩中に入ると内玄関、大きな火袋、広い通り庭と、取り外しできる京格子と風格のあるお宅です。
 当主のお話を伺うと、蒸し暑い京都の夏を過ごすさまざまな手立てが工夫され、住まい方の原点がここにあると感じました。畳の上に籐莚(とうむしろ)を敷込んで足触りを爽やかに。また、涼しさを演出するために、建具を葦戸に嵌(はめ)替え、御簾を吊り、衣桁(いこう)に薄衣を架け、少しの風の動きを目で楽しむ。
 表の道路や中庭前裁に打水をし、床下に通じる風を作ることで、建物の温度を下げる。吉田家にはクーラーがない。でも土間の三和土(たたき)や石敷の上に立つと冷やりとし、外気との温度の差が際立って分かる居心地の良いお宅でした。

吉田家にて
吉田家にて

 2回目は九州長崎街道の木屋瀬宿(こやのせじゅく)。遠賀川による交通の要所で、資材を山積みにするための木屋架が多く作られたのが木屋瀬の始まりとか。500メートル余りも同じような町家が続く。土蔵造りに近い外壁には、漆喰壁が多く、鏝錺りが素晴らしく職人の腕の確かさが町並みからもうかがわれます。旧高崎家は今から250年前の建物で、表の大戸を取り払うと馬車や荷車が、道から土間を通り抜け、直接川へ荷物を運び込める工夫がされている。座敷廻りや、舟天井、災害に強い内外部など職人の腕の冴えが数多く見られる明るい町家でした。
 運営はすべて十数人の町のボランティアの方々だ。
 文化財をまもるために案内から清掃まで、なんでもされる意気込みに頭の下がる思いでした。

職人随想
『全国商工新聞』H13年10月
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