古民家の再生 厨子2階の民家
江戸末期の建物です。貸物業を営んでおられ、その後長い間空き家になっていました。立派な建物で住みやすいようにリノベーションしています。
現場を担当した大工さんは、棟梁の築山 史典くんです。
民家のリノベーション 1) 施工
民家のリノベーション 2)竣工
建築当初のファサードを復元しました。
ばったり床几も修理しています。
幕掛けも復元し、ベンガラで色を統一しました。
虫籠窓も修理をしましたが、内部には建具を入れています。
古建具は再利用。
床組を新調し、断熱材(フェノバボード)を充填しています。
大和天井は洗って塗り直ししています。
4間続きの和室。
躯体の歪みを直したので、整って見えます。
襖は新調、障子・天井板は張替、壁は聚楽調珪藻土で塗り替えています。
土間だった空間に床を張り、ヒブクロのベニヤをめくって、漆喰を塗り直しています。
半間毎に梁を新設して補強しています。
床は桜無垢フローリング。1F部分の壁には桧上小節を張りました。
2Fから見下ろせる窓を2ヶ所設置しました。
縁側の建具は木製に戻しました。正面建具は網代です。
厨子2Fは、登梁の高さを変え、広い空間を実現しました。
天井は壁紙張。壁は珪藻土塗、床は楢材です。
全体が真壁で綺麗に収まっていますが、実は、一旦断熱材を充填して大壁にし、付柱をして真壁を実現しています。
硝子瓦12枚も使った天窓のおかげでかなり明るい空間になりました。
座敷の竿縁天井は中杢目突板で張替。
桐の化粧欄間や、硝子付紙張障子は再利用しています。
灯篭、手水鉢、伽藍石などは、配置は変えましたが既存再利用しています。
植木や苔は新しく入れました。
中門は修理、塀の菖蒲板は新設しています。右手のブロック塀も板で覆いました。
工事で苦労したのは、虫籠窓の納まりです。
一部はガラス建具に改装され、傷んで一部しか残っていない虫籠窓をを再生させ、内側にアルミサッシを大工さんと相談しながら納めるのがとても苦労しました(でも楽しかったです)。
建物を全て解体せずに昔ながらの虫籠窓、ばったり床几、出格子、幕掛等を後世に残す事ができ、大変うれしく思っています。
古い建具もできるだけ残して京町家らしい風情が整いました。
工事を終えて、ご近所の方が沢山完成見学会に来られ、「とても懐しいわ。残してくれてありがとう」と感謝の言葉を頂き誇りに思いました。