古民家の再生 広間の茶室
軒を受ける吊ボルト
路地奥の３軒長屋の古いお住まいを、リフォームしています。
四畳半広間の茶室を普請し、普段のお稽古はもちろん、将来茶道教室として利用する事も視野に入れて計画しました。
民家のリノベーション １) 施工
解体
場当たり的な工事が繰り返された内装材を一皮むけば、時代が滲む本来の姿が露わなる。
レベル調整
柱の歪みや沈下を直し、束石や大引きを据える。仕上がりを想いつつ、構造を矯正する。
内部造作
玄関に佇む大工棟梁足達。当社特製Ｔシャツが映える。
階段手摺
木格子を再生。貫板がきっちりと小柱を貫通する様が見事。
下屋根
将来の垂れを防ぐべく吊り金物で一工夫。瓦割をしっかり計算。
内部左官塗
倉三左官。踏台はキリン瓶ビール空きケース。
化粧野地
いつの時代も愛される小舞化粧天井。
外部左官塗
漆喰黄大津による仕上。熟練の技に魅了。
建て合わせ
足達棟梁が玄関建具を吟味。一瞬の緊張。
港紙張
茶室の最後の仕上。西の内紙にて腰張。
洗い出し
職人の腕一発勝負。やり直しが効かない仕上。
民家のリノベーション ２）竣工
ファサード
下見板張に漆喰黄大津壁仕上。
大屋根軒裏は貸木組を復元。
新しく糸屋格子を新調。
控え間から玄関を望む
紙張障子の向こうに糸屋格子。
客人をもてなす伝統的な玄関のしつらえ。
広間の茶室１
施主様と銘木店を訪れ、数ある材の中から選定いただいた床柱、床框、落垣。
北山杉天然絞丸太が映える。
広間の茶室２
新材の柱はあえて塗装を施さず、全体の調和を図る。書院の茶に近い仕上がり。
仏間
荒れた庭に残された灯篭も、雪見障子越しに眺められるように配置。
２Ｆ
３軒に分かれていたオモテの間をつないで広い廊下に。
あちこちから光が差し込む。
露地
庭石・植栽・板塀など全て新調。茶事に赴く気持ちが高まる。
貸木造り
大正時代によく用いられた化粧軒を再現。付長押や前包みなど京都特有の外観を再現。
水屋
茶室に隣接するよう配置。通り棚、茶椀棚、水板、簀子流しなど草庵の意匠を踏襲。
ＷＣ手洗い
杉柾板を基調にした仕上。左手建具奥がＷＣ。狭い空間も粋なしつらえに。
茶道初心者である私を信頼し、仕事を任せていただいた施主様、並びに数々の助言をいただいた方々に感謝。やっぱり京都、迷ったときに素晴らしい手本が身近に佇んでいることに改めて気づかされた。