新築(注文住宅) 交差点のお住まい
明るいお部屋は望まない
お客様のご要望である「明るいお部屋は望まない」という点がポイントとなりました。
これまでの私の基本的な考え方としてあった『採光、採風をどのように多く、そして上手く採り込むことができるのか』とは異なり、『いかに効率良く小さい開口面積にするのか』ということを重視して計画させて頂きました。
どこからが明るくて、どこからが暗いかということについては個人差がありますが、計画の際に考えたことは、昼間にお部屋に居て、照明器具無しで生活できる最低限の採光を確保することを基準とし計画しました。その基準によりお客様とも明るさのイメージを共有することができ、平面計画も含めスムーズに進めることができました。
担当した大工さんは築山君です。
【職人紹介】:大工:築山 史典
民家のリノベーション 1) 施工
2棟建っているうちの片方を壊し、片方に工事中お住まい頂きます。
そして新築が完成したら引っ越ししてもらい、残った片方を壊すという計画です。
そして新築が完成したら引っ越ししてもらい、残った片方を壊すという計画です。
敷地に高低差があり、前面道路も端から端で1.5m程傾斜しているためGL設定が難しかったのですが、なんとか建物へのアプローチもスムーズにアクセスできるレベル設定とすることができました。
先行足場を準備して安全に配慮の上、作業に掛かります。
外部の雨仕舞が完了したところです。
これから枠材を取付け、壁の下地を進めます。
これから枠材を取付け、壁の下地を進めます。
通気工法を採用しており、1階外壁からの空気を下屋根上部の瓦の隙間から通気金物を介して換気します。
アルミサッシの下部へ結露水が溜まらないよう窓廻りは念入りに処置を行います。
外壁の鏝押えの写真です。外壁のラスモルタル目地無し工法です。通常のラスモルの上へ、更に割れにくいよう目の細かいネットを貼って補強します。
スカッと上がりました。本当に素晴らしい仕上がりです。左官屋さんの技術には感服します。
木部はオスモクリア塗装を行い、少し濡れ色に仕上げます。なんとも良い感じに仕上がってくれます。
普段は工場で作業されていますが、今回は現場で施工してもらいました。現場監督20年程で初めての経験です。
お客様が仮住まいされていた片方の建物が隣接していたため、新築時には庇が設置できませんでしたので、お引越し後に設置させて頂きました。
民家のリノベーション 2)竣工
1.5mある傾斜の程良い高さに玄関ポーチの高さ設定を行いました。階段とスロープのどちらでも建物へアクセスすることができます。
玄関収納とその横の空きスペースには将来的に下足箱を設置予定です。
LDKと奥の寝室を一体で使って頂けるよう、建具は天井までの大開口とし開放的な空間としました。
生活動線がスムーズに繋がるよう配慮しました。LDKを中心に玄関、水廻り、寝室、物干場と1階で生活が完結する計画となっています。
LDKからすぐに利用できます。洗面台上部の窓から朝日が入り気持が良いです。
オープン棚を壁一面に設置させて頂きました。奥行きは小さいですが買い溜めした物を沢山ストックして頂けます。
少し遊び心を入れた手摺壁としました。勾配天井のレッドシダー材とも良く合っています。
WICとして使用されるため風通しのできる窓と棚板のみを設置させて頂きました。
採光を制限したことで、完成した建物は、これまで手掛けてきた新築とは少し異なり、落ち着きのあるまったりと憩える空間に仕上がりました。京都の街中だとつい明るさを優先に計画してしまいますが、程よい明るさでも十分快適な空間となることに気付かせてもらえる建物となりました。
お引渡し後に訪問して気付いたのですが、窓が小さい分、断熱性能が上がり夏と冬の快適性がかなり向上しているように感じました。明るくするということは、それだけ窓からの熱損失が多くなっていることを理解し、窓のサイズや位置によってお部屋の雰囲気や快適性が大きく変わることを意識した上で今後の計画を進めていければと思います。
お引渡し後に訪問して気付いたのですが、窓が小さい分、断熱性能が上がり夏と冬の快適性がかなり向上しているように感じました。明るくするということは、それだけ窓からの熱損失が多くなっていることを理解し、窓のサイズや位置によってお部屋の雰囲気や快適性が大きく変わることを意識した上で今後の計画を進めていければと思います。
現場監督 米沢 和也