京町家の再生 土間のある京町家I

古い京町家のイガミを直し、トオリニワを土間暖房させていただいたお住まいです。
解体してみると、キッチン周りを中心にだいぶ蟻害が発生していました。
今回は、建物の沈下を直し、痛んでいるところは根継をしてさらに100年持つように改修しています。
長い間フランスで住んでおられたので、キッチンの下に洗濯機を入れたり、海外の食器洗乾燥機を入れたりしています。
今回は、竣工写真もさることながら、工事中の写真を少し多めに入れてみました。リフォームの一例として参考になれば幸いです。
土間暖房の京町家 改修写真

まず解体して痛み具合を調べます。モルタルに覆われていた井戸引はボロボロに痛んでいました。
土間仕上げになるため、排水も新しく入れ変えることになりました。写真では既存配管を撤去しています。

ポストで屋根を受けつつ、井戸引を撤去。柱を仮の添梁で固定し仮受けしています。
この添梁は井戸引を入れた後で撤去します。

1尺1寸の井戸引を入れました。下端を見ると、レンガが下がっているのがわかります。
昔あった井戸から水が染み出して、周りの土を流したためだと思われます。
レンガはそのままにしておいて、隙間は鼠が入らないように網を張ります。

内玄関の柱を揚げています。足元が空いているのがわかります。
ここは外から見えるので、根継をします。

大黒柱も3cmほど下がっていました。
石との間には鉄板をかましています。
残念ながら、座敷内部の壁が一部割れてしまいました。
・゜゜・(×_×)・゜゜・。

トオリニワの一番奥の柱です。
すぐ裏は外部なので、雨があたって腐ったのだと思います。

左官壁の上塗・中塗を落としています。
この壁は外部に面しています。
普通、中塗を落とすと荒壁がでてくるのですが、壁の下半分は下見板に直接塗ってあったようです。

荒壁下地を編むのはお金も時間も塗厚もかかるので、今回は木摺下地を造っています。
綺麗ですね~

トオリニワのヒブクロに足場を組んで中塗りをしています。
町家の吹き抜けは背が高いので、いつもこうして単管足場を組みます。
柱を塗装し、上塗をした後で足場をばらします。

今回は、土間床暖房をしています。
この写真では、既にパネルが敷かれていますが、その下に栗石+捨コンを打設しています。
このメッシュの上に土間モルタルを打ちます。
壁際に見える白い帯状のものは断熱材です。柱にモルタルが接しないための工夫です。
土間暖房の京町家 竣工写真
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外観・ミセニワ | ミセ・ダイドコ・座敷 | 2F・ロフト |
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完成写真です。小さな写真をクリックすると上に表示されます。
外観は、出格子を補強し、手すりを取り替えています。
ミセニワの植栽は新調。土間の石は、裏庭に残っていたものを並べています。
ミセのガラス戸は、古建具を探してつけました。その上には古いガラスに鉛桟をまわしてはめ込んでいます。
机・椅子・玄関収納は、弊社で新調し、古色に仕上げました。
キッチンはPanasonicの既製品を利用し、AEGの食洗と洗濯機を組み込みました。
土間はモルタル仕上。その上に防塵テックス半艶塗料を塗っています。
襖紙は施主さんに選んでいただきました。2Fのロフトの床の格子からは、1Fのキッチンの光と風が入ってきます。
お引き渡し後に伺うと、はだしで生活されておられ、土間暖房もよいものだなと感じました。