火袋階段の京町家III
掃除を重ねた窓格子
一度一緒に古家を見に行ったのですが、あまりに悪く、購入を見合わせてもらいました。それから2年経ち、やっとよい物件に巡りありました。
今回は、火袋にスチール製の階段を新設しました。初めての試みでしたが、綺麗に収めることができました。
施工 京町家を基礎・構造からリノベーション
アルミは撤去しますが、仕舞屋格子は素敵なので、そのまま残します。
床組みを解体します。意外と荒壁がしっかりしています。
玄関の柱です。ジャッキで仮受して腐朽した部分をカットします。
葛石を入れ直し、化粧で見える部分がかわるので柱を据えています。
腐朽したり敷居溝不要になったりするので、入れ替えています。地桧です。
床暖房用に少し下げて根太を入れます。長屋建で揺れないため、構造壁には合板を張ります。
当社では、壁の下地は昔から地桧のバラ板を張っています。壁がしっかりします。
階段が付く部分に足場を組んで中塗土を塗っています。
廊下の天井に杉板を張っていきます。大工の粟津さんです。
宇根田鉄工所さんに階段の骨を組んでもらいます。
タモ集成材を加工しています。大工の真庭さんです。
キッチンの壁にはモザイクタイルを張ります。
竣工 スケルトン階段で火袋を楽しむ
床は黒龍石洗い出し。壁は白漆喰塗。天井は網代煤竹押。
ミセノマ入口に沓脱石を据付ました。
建具は新調し、古色塗装を施しています。
玄関は当初は引戸でしたが、幅が狭くて使いづらいので開戸に。
仕舞屋格子窓の内側にインナーサッシを設置。
内部はジュラックスC(新聚楽塗)仕上です。
内部はジュラックスC(新聚楽塗)仕上です。
旧ハシリニワを利用し、床を旧座敷と一体にしました。壁は一部タイル張。床は床暖用3mm挽板オークフロアです。
ミセニワから続く空間です。廊下の下は靴入に。葛石は全て新しく敷設しています。壁は白漆喰塗です。
階段は、直⇒廻り⇒直⇒廻りと少々複雑。階段を掛ける前に漆喰壁を仕上げています。
天窓からの光が階段室全体を明るく照らしてくれます。天井は断熱材を充填し、古色塗した杉板を張り上げました。
天井をめくると大きなごろんぼが現れたので化粧で見せることに。壁は聚楽調のクロス仕上です。
お座敷の意匠は元のままです。
畳表替、聚楽壁塗替、天井清掃。
襖・紙張障子は2Fのレベルが悪かったため、レベル修正後新調しました。
天井は吊直して、天井裏清掃・断熱材敷設・鼠穴塞ぎをしています。
障子の外部にアルミ窓を新設しました。
『火袋階段の京町家III』お客様の声は、リフォーム評価ナビ「株式会社アラキ工務店の口コミ」に掲載されています。
それでも、和室のレベルがきちんと見えるように、調整していきました。
火袋に鉄骨階段を設けるという初の試みでしたので、火袋のレベル、柱のコケ等々何度も大工さんと鉄骨屋さんと一緒に打ち合わせをしました。
真壁の漆喰が塗り終えてからの施工で、緊張しましたがばっちりきれいに納まり、鉄骨屋さんには流石の一言でした。
町家としての和や自然素材の良さを残しながらも、現在のニーズにも応えた改修が可能なのだと改めて感じさせて頂きました。
お施主様にも感謝です。ありがとうございました。