5戸1の京町家

昭和初期型の5戸1町家です。京都市周辺部によくある、お百姓さんの借家のような構造です。
近隣の方の協力で大変スムーズに工事が進みました。ありがたいです。
現場を担当した大工さんは、足達宗凡棟梁です。
【職人紹介】:大工棟梁:足達宗凡

施工 できるだけ昔の雰囲気を残して構造からリノベーション












竣工 古い材料をできるだけ利用して再生する





左手は大正、正面は昭和の建具です。右手の舞良戸は水廻りにあったものを移設して再利用しました。
床は楢無垢材ラスティック。
階段は勾配がきついのと、構造壁をつくりたかったので、少し伸ばして新調しました。

LDKとして使います。
正面の建具は、2枚共右の壁の手前に入るように作り変えたので、旧ダイドコも合わせて広く使う事ができます。
木部の塗装は、既存合わせオイルスティン塗と、白木を生かしてオスモクリア塗と分けています。



床や敷居は新しいですが、建具は既存修理しました。
ペンダント照明は古いセードを再利用しました。
竿縁天井に排熱ファンを設置しています。
右手足元にガスコックが見えます。

窓に遮光用のプリーツスクリーンを掛けています。
この部屋の意匠はほぼそのままですが、躯体の歪みや沈下を直し、天井を吊り直したため、見違えるようになりました。

この部屋は元々洋間に改造されていたので、今回も大壁にしています。
また、この部屋だけ連棟になっていないので、窓の両脇に壁を新設し躯体が左右に動きにくくしています。
これに伴い押入を新設し、狭くなったので、天井を少し上げて船底にしてみました。
天井はビニールクロス。壁はジュラックスC塗です。

長屋の真ん中で、どこまで歪みや沈下が直るか心配しましたが、かなり水平垂直を出す事ができ、ほっとしています。
100年後まで使い続けられる町家。こうして、復元作業に携わることができ本当にうれしかったです。
現場監督 荒木 勇