古民家の再生 梟のある民家

典型的な田の字型民家です。ハシリ土間の脇に畳間が6室。今回の改修のポイントは、主に傾いた建物を元の状態に戻すことと、土間空間を活用してたくさんの人が集える空間をつくることでした。平屋建てでしたが、小屋裏に大きなスペースがあったので、こちらも、人が泊まれるように3室確保しました。
民家のリノベーション 1) 施工



昔ながらの土間は残っていましたが、筋交のようなもので補強されていました。和室はもともと大和天井だったのですが、白く塗装されていました。小屋裏は、昔の農機具や藁などがたくさん積み上げられていました。



盛土地盤が砂地だったため、坪基礎がうまく据えられず、全面コンクリートを打設しています。建物が大きいので取り替える構造材や化粧材がたくさんありました。


もともと天井高が低く、大和天井の梁下で2mほどしかなかったので、施主さんのご要望を受けて床を下げることにしました。構造材の断面欠損部分は埋木で対応しています。
民家のリノベーション 2)竣工

屋根、野地、外装、土間石畳ともすべて新調しています。
和風の雰囲気を生かし、伝統的な外観になりました。


農家型民家によくあるシンプルな玄関土間。
ウチニワも同様に、広い空間を残し、皆でテーブルを囲めるようにしています。


火袋は、もともとの木組みを生かし、再塗装、再左官を施しています。
「ナカノマ」「ダイドコロ」と呼ばれていた和室を板の間に改修し、システムキッチンを配置しました


「ナカナンド」からウチニワをみています。もともと天井が低いので、大和天井を表しにしています。
ザシキは、歪み調整・根継・床組など一通りの手当てはしていますが、意匠はほぼ元のまま再現しています。
あと、もともと小屋裏で部屋として使われていなかった空間を居室に改修し、これにもかなりの手間がかかりました。
それでも、大工さんに頑張っていただき、民家を1軒残すことができました。感謝感謝。