厨子2階の京町家Ⅱ

明治11年(1878年)に建てられた京町家。その後、昭和5年(1930年)に大規模な増築と改修工事が行われ、その後規模の大きな改修なく、今回の改修が88年ぶりの大規模改修となった。
伝統的な意匠が広がり、歴史を感じる事ができる。
今回はWIN設計事務所の栗山先生と一緒に取り組んだ。
京町家のリフォーム 竣工


改修内容は、大屋根の3分2を全面葺き替えとし、内部の改修は昭和5年大改修時の趣を再現。
ハシリニワは、給排水を全て入れ替え、土間コンクリートを打ち直しました。
正面の壁は漆喰塗。台所のタイルは補修。左手前の紙張障子は新調しています。
ミセノマの床は全てめくって、床組みからやり直し、コルクタイルを張りました。
間仕切りのガラスは新調。外窓は、レール・戸車を取り替えて、スムーズに動くように竪合わせをしています。


二階ナカノマにステンレスキッチンを新設しています。壁は漆喰塗。天井は和紙張。床はカバのフローリングです。
外に見えている菖蒲張りの塀も作り変えました。
座敷は、セキスイmigusa。ポリプロピレン製の人工畳です。子供さんがいらっしゃるので丈夫なものにされました。
建具を直し、壁も塗り替えています。



2Fはほぼ全面改修です。天井も壁も建具も床も下地から直しています。
壁はジュラックスC塗。竿縁天井板は杉の突板です。
2F廊下はナカノマを仕切って新しく作りました。襖は素敵な引手だけを再利用し、新調しています。
WCは剛天井をそのまま生かして補修。腰板は杉板の継手に竹を張っています。
明治初期の風情と昭和初期の普請が一体となったとても興味深い京町家。今回の平成の改修を通じて、先代の建物に対する思いが、後世に引き継がれてゆく事を祈念いたします。