仕口ダンパーによる免震補強

古い家に安心して住めるために・・・
『古いから・・・、再生できないから・・・、住みづらいから・・・』という事で、古い町家がどんどんなくなっていきます。京町家ブームと言われる昨今でも、ここ7年で5600軒も減少しているのです(2017年5月京都市調査)。町家でなくても、丁寧にたてられた、古民家もなくなっていきます。
弊社では、京都で営業するものの努めとして、ご相談を受けたときは、できるだけ《解体→新築》ではなく《改修・補修》をお勧めしてきました。それがその家を建てた大工さんの思いをつなぐことだと思うからです。
そこで、弊社では、傾いた家は水平にし、痛んだ壁は補修し、住みにくいところは一部手入れをして町家に住み続けられる工夫をしてきました。
阪神淡路大震災を契機にして・・・

しかし、『地震が怖い』というお施っさんの気持ちもわかります。古い家はたいてい筋交いなど入っていません。金物などまずみあたりません。また、柱は、石の上にのっているだけで、金物で基礎に緊結されているわけではないのです。
かといって、古家に筋交いをいれようと思っても、先人が丁寧に塗りこんだ荒壁を解体しなければなりませんし、基礎を作ろうと思っても、ジャッキアップしながらコンクリートをながしこまなければなりませんので費用と手間がかかります。しかも、そうした補強がかえって建物のバランスを崩し、町家を傷めることにもなるのです。
もちろん、良い仕口であれば、地震で外れる事はありませんし、荒壁(竹で編んで土を塗りこんである家)は、地震が起きたときに、揺れを吸収し、割れる事で家全体が崩壊する事を防ぐ役目があるため、いま流行の欠陥住宅よりよっぽど安心です。
でも、それは、『倒れない』のではなく、『倒れにくい』のにすぎないのです。
そこで、でてきたのが仕口ダンパーなのです。

今回は、(株)鴻池組エンジニアリング部さんの了解を頂戴し、この金物の御説明をしたいと思っています。京都大学防災研究所の実験材料を作成させていただいた縁で、京都では弊社が最初に施工させていただきました。大変ありがたいことです。
古家の補強に悩んでおられる方は是非御検討下さい。