アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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町家探訪

1.京町家 吉田家

(京都市)

 冬は底冷えが、夏はうだるような蒸し暑さが厳しい京都の町
 ここで、少しでも快適に暮らすために、長年にわたってさまざまな工夫が凝らされてきたのがいわゆる京町家です。
 そこにはどんな秘密があるのでしょうか。

白井 中学・高校の6年間を私も京都で過ごしました。最近、京都も古い建物が少しづつなくなってきていますが、そうしたなかで、ちょっとでも、町並みを残そうと頑張っておられる方々もおられます。
白井 今日はそのグループの中の一つ、『京町家作事組』の荒木さんと、堀内さんにお越しいただきました。住み心地のいい家は本当にこころを豊かにしてくれます。住まいのすばらしい知恵をこの21世紀にも是非伝えたい。そう思います。

荒木・堀内 よろしくお願いします。

白井 今日は、新町通りの吉田さんのお宅にお邪魔しています。大変可愛らしいつくりですけど、奥が大変深そうですねぇ。
吉田 私の家は『表屋造り』といいましてね。とおりに面して商売をする店舗棟があり、平屋の玄関棟と、中庭を隔てて、家族たちが住む住居等があるんですよ。
白井 町家という言葉は昔から使われてきたのですか?
吉田 当時はそんな言い方はされてなかったと思いますよ。近年でしょうねぇ。
荒木 吉田さんの先代がお建てになったときには、家並をそろえるというのが暗黙の了解があったんだと思いますね。

荒木 町家にはいろんな工夫がされてます。こちらをご覧ください。これは「通し腕木」といいましてね。外から人見を通り越して「ササラ」までかかっています。軒先の重い瓦を支えているんですね。
白井 これは固定されている物なのですか?
荒木 いえいえ。軒が下がってきたら、木をかまして調節するんですよ。

白井 この玄関にも、工夫があります。
荒木 ばったり床几といいましてね。こうして倒したり上げたりできるんですよ。
N(ナレーション) 平安末期の商家はまだ品数が少なく、鎌倉に入ってから揚げ店として使われたそうです。今でも8月の地蔵盆では活躍するとか。

 吉田家は間口4間半。ちりめん白生地を扱っていました。
表の間は、小店といい、商品を並べる小さなスペースです。
吉田 荷車を入れるのに、この敷居は障害になっているでしょ。でも、コレ外れるんですよ。そうすると、ガラガラと車をそのまま入れることができるでしょ。
白井 わぁ・・・ 工夫されてますね。

白井 こちらは広々としてますね。
吉田 これは、「嫁隠し」といいましてね。京都の家は勝手口がないでしょ。八百屋さん酒やさんだとか、日常管理の人は奥まで入ってくるでしょ。で、ここの板の手前にたって声をかけるんですよ。
  声をかけられた身なりを整える余裕が稼げます。板一枚にも粋な工夫がされています。

白井 こちらには立派な水屋箪笥がありますが・・・
荒木 水屋箪笥の下のほうには炭が入ってるんですよ。ちゃんと切っていつでも使えるようにしてるんですよ。

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