アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

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町家探訪

9.沖縄県竹富島 大山家・上勢頭家

(沖縄県竹富島)

 日本最南端の町、沖縄県竹富町は非常に暑く、また台風の通り道として、自然環境の大変厳しいところです。今回訪ねる大山家、上勢頭家では、暑さや風といった厳しい自然の中で島全体の景観を保存していく先人たちの知恵や工夫についてご紹介します。

白井 こうして道が白いのは珊瑚の砂をまいているそうなんですね。なんだかこんなきれいな道を歩いていると、夢の国を歩いている感じがしますよね。
 白い道は春と秋の年2回、新しい砂がまかれます。毎日早朝より、島中の家々が珊瑚の砂をまいた道を掃き清めます。こうした習慣は白い道を保つことによって、島に生息する猛毒を持つハブを月明かりでも見つけやすくする環境作りにもなっているのです。

白井 八重山諸島は台風の通り道でもあって、雨、風、暑さ、それに伴う湿気もものすごいかと思うんですけど。
荒木 この町は、町並みを保存するために古い家をリサイクルして、昔の町並みに作り変えています。そのために石垣島だとか他に島から解体されたものをここの島に持ってこられて4箇所ぐらいの倉庫(ストックヤード)があるそうですね。
白井 それでこんなにきれいなのは、そうやって大切にしているからなんでしょうね。そんな竹富の住まいの知恵と工夫があると思いますので、今回もよろしくお願いします。

白井 こちらの石垣なんですけども、どうやって作ってあるんでしょうか。
荒木 珊瑚の石灰石を積んであるんですけど、下よりも上が狭く積んであって、積む時にこころもち中へ勾配がつくようにしています。野面といってただ置いてあるだけですが結構強いですね。
白井 強い風の日とかぐらぐらしませんか。
大山 台風の時は穴が開いている場所から風が適当に抜けていくので。コンクリートやブロックの塀よりは音も消えますし、先人の知恵だと思いますよ。

 家と石垣の間にも塀が。
白井 こちらもまた、表情の違う壁ですよね。
荒木 マイヤシといって、こちらの家々は門が無いので、門を模る一つの形としてマイヤシを造られているんですね。
大山 これがないと家の中が丸見えになってしまいますので、目隠しにもなっていいです。
 マイヤシがあることで外からの視線を遮ることができますが、一方中の様子を窺うことができる高さでもあります。

白井 瓦がすごいですね。こういう瓦が大好きです。
荒木 ここの瓦は琉球瓦といって素焼瓦なんですけども、3枚も4枚も重ねて珊瑚を焼いて作った漆喰で固めてあります。軒先も瓦2枚重なってますし、下は20cmぐらいの瓦なんですが、上は10cmぐらいで本葺のように重なっています。
大山 オス瓦とメス瓦と呼んでいますが、それの一節一節の間に3枚4枚と重ねていますので、雨漏りをかなり防いでいますね。

白井 シーサーが可愛らしいですね。
荒木 家によってみな違うのですか?
大山 瓦職人が手作りのシーサーをプレゼントするんです。ですから、シーサーを見ると大体誰が葺いたのかわかるんですね。

荒木 軒はイヌマキの垂木ですね。竹が鳳凰竹で編んであって、上に土が載せてあって、その上に瓦が何枚も重ねてあります。雨が降ると土と素焼の瓦に水が染み込むようになっています。それが乾燥して乾くときに熱を奪い去って部屋が涼しくなるんです。
白井 自然のクーラーのようになっているんですね。

白井 これ、よく海で見ますね。
荒木 菊目石といいますが、硬くて蜂の巣みたいになっていて柱の下を抱え込むようにして、横にずれないようにしています。
大山 竹富の家は柱の下に水がかかっても腐らないように珊瑚になっているんですね。

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