アラキ工務店 京都市右京区:京町家、古民家、大工さんと建てる家

アラキ工務店 株式会社 アラキ工務店

職人今昔

3.左官工事

 今日建築の専業化が進み、大工職の建築工事に比べ、他業種への思い入れが少なくなってきていると感じている。
 
 私は、見習いの時期左官工事のノウハウを少しは知ることができ、そのことが後々大変役立った。それは壁の下地作りや粗壁塗(下付)の才取り(長い柄の道具で粗土を一階から二階へ投げ上げる時の道具)や、それを受ける鏝(こて)板も特大で大きく、鏝は三十cmの大鏝で竹割下地へ塗り付ける。重労働で、私たちは一時間もすれば両腕共動かなくなる。しかし、それを習うことで、左官仕事の塗壁や工程を知る事ができる。今は少なくなった聚楽壁の水捏仕上、磨き壁の仕上に椿の葉を使う方法等、左官の親方から話を聞き奥の深い業種と思った。
 塗土に鉄粉を入れる壁や大津壁、聚楽土の具合、深草土のタタキの配合。土蔵の戸前の肘坪の取付やその骨組みの寸法、また戸前の寸法出し、土壁天井の廻りの付出し下地、柱の壁チリの髭子の種類や壁と柱廻りのチリ作墨の仕方、土間塗でも四半切りが多く、寸法出しや、切り方は左官の技術が生かされ安価に仕上がることなど、今になって少し考えされられることが多い。

施工マニュアル

 私たちの若い時代は、夜左官店へ使いに行くと、その店の若い衆が夏冬なしに明日の下拵えに布海苔(ふのり)を炊いている姿を毎度見てきた。私は、大工見習でよかった、と思ったものである。先日、壁の研究会で職人の方達がいろいろ違う土地の土を練っていただいたが、壁を塗りやすいように考えて、土に入れる寸莎(すさ)の量や砂・水の量を配合していた。
 塗付けた後、解体して調べた所、殆ど同じ配合で、特に寸莎の数がほぼ同じとのこと。それを調べた大学生も大変だったでしょうが、職人の腕も大したものと感心した。昔は左官職の殆どの人達はタイルを張り、さらに鏝絵で芸術を見せて皆を楽しませていた。それが職人の誇りだったのかも知れない。

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『全京都建設協同組合ニュース』H10年12月
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